「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「ポゼッションした中でどれくらいできるかを試すいい機会」(齋藤) ・・・相手守備陣の隙を見つけ出し、風穴を開けろ [2節札幌戦プレビュー]

 

 

開幕戦の榎本哲也に続いて、第2節では兵藤慎剛が横浜に帰ってくる。ピッチとスタンドの距離が近いニッパツ三ツ沢球技場で開催されるのは、兵藤ファンにとっては嬉しいところだろう。

昇格組のコンサドーレ札幌は開幕戦でベガルタ戦と対戦し、0-1で惜敗。兵藤は後半途中から出場して中盤の一角を担った。マリノス戦でどのような起用法になるかはわからないが、どんな状況・場面でも全力を尽くす男である。チームのために懸命に汗をかき、ガムシャラに勝利を目指すはずだ。

既視感に襲われるのは、マリノス側の人間よりも兵藤だろう。横浜を離れて時間が経っていないこともそうだが、それ以上に札幌で過ごした時間はまだ皆無に等しい。

人生初の移籍を決断し、1月上旬のチーム始動日に合わせて北の大地へ旅立った。それから始動日前後の約1週間を単身で過ごしたが、すぐに沖縄キャンプへ。以降は降雪の影響と厳しい寒さのため札幌で練習できないため、熊本へ移動してキャンプを続行。そしてプレシーズンから開幕後の現在まで、熊本を拠点としてトレーニングを行っている。

マリノスで9年間プレーした兵藤は、横浜に9年間住んだ。ニッパ球へ行く道中には馴染みの店がたくさんあることだろう。そしてスタジアムに到着し、ホーム側ではなくアウェイ側のロッカールームに初めて足を踏み入れる。ウォーミングアップを行うエンドも、これまでと逆になる。

一時的とはいえ、こんなに早く帰ってとは思っていなかったはず。負けず嫌いな彼のことである。避けては通れない試練としてマリノスの前に立ちはだかるだろう。

エリク・モンバエルツ監督は兵藤について「彼のクオリティのスタートは運動量だ。すごく走る選手。MFだが、前線に入っていく力もある。彼のランニングをしっかりコントロールしなければならない」と警戒する。守備的に戦いを進めることが予想される札幌だが、少ないチャンスをゴールに結びつけるタフガイに注意しなければならない。

 

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ボランチとして定位置を確保しつつある天野純は、対戦相手とした再会する兵藤を「ついこの前までチームメートだったので、対戦相手になるのは不思議な感じがする」と苦笑い。中盤で対峙する点は「守備を絶対にサボらない選手。球際が強いし、プレー全般の基礎がしっかりしている。紅白戦で対戦しているときも嫌な選手だった」と思い返していた。

 兵藤がいるであろう札幌の中盤を攻略し、ゴール前を固める守備陣を攻略したい。マリノスの先発メンバーは劇的勝利を収めた開幕・浦和戦とほとんど変わらない見込み。唯一、水曜日の練習で右太もも裏を痛めた金井貢史の出場が危ぶまれている。試合前日の練習にはメニュー限定ながら参加できたが、筋肉系の故障だけに無理は禁物だ。あとは指揮官がどのような判断を下すか。欠場の場合は新井一耀が左SBに入る。

浦和戦ではカウンターを武器に3ゴール決めた。反対に札幌戦では引いた相手をいかにして崩すかという課題に取り組む。攻撃の軸となる齋藤学は「ポゼッションした中でどれくらいできるかを試すいい機会になる」と見据える。ボールを持っている場面でもリスク管理しながら、相手守備陣の隙を見つけ出し、風穴を開けたい。

形としては最高のシーズンを切った2017シーズン。だが勢いも力強さも、もっともっと大きくできるはず。2連勝という名の波に乗って、鹿島アントラーズ戦に向かいたい。

 

 

 

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