「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「1年間同じメンバーで戦うことは不可能。誰が出場してもチーム力を落とさないように準備しなければ」という言葉は正しい [Lカップ 1節 C大阪戦プレビュー]

 

今年も清々しいほどにリーグ戦とカップ戦のメンバーを分けていく。明日のルヴァンカップグループステージ第1節・セレッソ大阪戦に先発する11人は、直近の鹿島アントラーズ戦から総入れ替えされる。土曜日に行った関東学院大学との30分ハーフの練習試合に出場した面々が中心だ。

 ゴールマウスを守るのは今季加入した杉本大地が有力。始動直後の負傷でタイキャンプと宮崎キャンプのほとんどを棒に振ったが、横浜に戻ってから猛追を開始。恵まれた体躯と優れた身体能力に加え、足下の技術もしっかりしている。陽気で前向きな性格も、最後尾からチームを明るく照らすことだろう。

最終ラインにはコンサドーレ札幌戦後の負傷で鹿島戦のメンバーから外れた新井一耀が右SBに。CBは栗原勇蔵とパク・ジョンスがコンビを組み、左SBには高野遼が起用される。高野は、負傷の癒えていない下平匠と山中亮輔がいない間に存在感を示したいところ。持ち前の攻撃性能を発揮できれば、攻撃のオプションになりうる存在だ。

どのポジションで起用されても堅実なプレーを見せる新井に不安はない。それよりもチームの核となるCBコンビの出来に注目したい。栗原勇蔵は昨年10月のルヴァンカップ準決勝第1戦・ガンバ大阪戦で負傷交代して以来の公式戦となる。試合勘とゲーム体力の両方に少なからず不安を抱えるが、それでも中澤佑二に次ぐ経験を持つ男だ。「試合になれば周りを引っ張ってプレーしなければいけない部分もある」というリーダーシップにも期待がかかる。相棒のパクは宮崎キャンプ中に痛めた左ひじが万全の状態ではないが、プレー可能という判断で先発する見込みとなった。

 

 

下バナー

 

中盤のダブルボランチは中町公祐と扇原貴宏が組む。それぞれに経験が備わっており、異なるタイプのプレーヤーとして相性は悪くないはず。中町はリーグ戦での先発奪取に向けた大事なゲームとなり、扇原は指揮官の信頼を勝ち取るための一歩目を踏み出したい。攻守両面における二人のパフォーマンスが、チームの勝敗を変えるかもしれない。

2列目には右から仲川輝人、中島賢星、そして遠藤渓太。3選手ともタイキャンプでブレイクスルーのきっかけをつかんだかに見えた若武者だが、その後は新加入の外国籍選手や急転残留となった齋藤学の後塵を拝している。攻撃面での活躍はもちろんのこと、チームのベースとなる守備での貢献も必要となる。好きなプレーだけではリーグ戦レギュラーに手が届かない。求められるハードルが高いのは承知の上で、結果とプラスαを求めたい。

 最後に1トップは、戦術上の理由で鹿島戦の先発から外れた富樫敬真だ。鹿島戦での狙いについて指揮官は「前線によりパワーのある選手を置きたかった」と振り返る。それが伊藤翔の先発起用の意図であり、富樫が先発から外れた原因だ。ウーゴ・ヴィエイラも含めて、現時点で1トップに絶対的な存在は見当たらない。ただ、富樫にはそうなる可能性と資格がある。結果を出し続けて周囲を納得させ、足りない部分を補完したい。この1年間で見違えるほど守備が上手くなり、ポストプレーの力強さやテクニックも向上した。背番号17には、さらに伸びる要素がある。

昨年の今頃もメンバーを総入れ替えし、カップ戦初戦に臨んだ。当時よりも今のチームのほうが選手同士の力関係は拮抗しており、差は縮まっている。昨季のカップ戦で積み上げた成果や自信も大きな意味を持つ。急造チームでも、ある程度のクオリティは計算できる。モンバエルツ監督の「1年間同じメンバーで戦うことは不可能。だから誰が出場してもチーム力を落とさないように準備しなければいけない」という言葉はおそらく正しい。セレッソ戦に臨むチームの出来が、今シーズンのマリノスの行く末を決める。とても大事な90分間だ。

 

 

 

 

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ