「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

平均年齢23.27歳の若き布陣は一定の勇気を見せた [ルヴァンカップ2節 神戸戦レビュー]

 

90分を通してチャレンジする姿勢は確かに見られた。後ろ向きのプレーがまったくなかったわけではないが、トータルするとボールは前方向に進む回数が多かったように思う。特にビハインドの展開を追った後半は、チーム全体が攻撃的なポーズを取り続けた。吉尾海夏のパスを受けた遠藤渓太が左足で狙った56分のシーンや、攻め上がった新井一耀が惜しい左足ミドルを放った80分の場面などが最たる例だ。

同じ0-2の敗戦でもルヴァンカップ第1節・セレッソ大阪戦からの進捗はあった。その試合は攻守両面で見るべきところが少なく、ネガティブなプレーの連続にため息が漏れた。繰り返すが、昨日の神戸戦ではチームがファイトしていた。平均年齢23.27歳の若き布陣が一定の勇気を見せた。決して無抵抗な敗戦ではない。

だが、プロ選手が『頑張った』だけで評価を受けることはありえない。「置かれた立場で頑張るのは当たり前。その中でどうしていくか」と振り絞ったのはリーグ戦に300試合以上出場している栗原勇蔵。最大限の努力の末に結果を出すのがプロのはず。その点において、この日のマリノスはすべてが足りなかった。

足りないという言葉を具体的に表すならば、技術と判断、そしてフィジカルである。技術的なミスが発生すれば、ボールを奪われる可能性が高まる。判断が遅ければ、相手に寄せられてしまう。それらを補うためのフィジカルが足りず、五分五分の競り合いに勝てない。混戦のボールのほとんどが神戸ボールとなり、攻撃回数が減って守備回数が増える。するとメンタル的にも追い込まれていく。

 

 

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そこでの差を埋めるような具体的な戦略もない。昨年とまったく同じことだが「急造チーム」(伊藤翔)に与えられる準備時間はごくわずか。さらに言うと、昨年のチームにはセンターラインに榎本哲也や兵藤慎剛がいた。困った場面でも試合の機微を本能的に理解し、我慢や辛抱を実践できるプレーヤーだった。いまは臨機応変に戦える選手が少なすぎる。

 ルヴァンカップ2連敗スタートを受けて、今後どうすべきか。クラブとして『来季のACL出場権獲得とカップ戦優勝』を公言しているのだから、その観点から言えば何かしら手を打つ必要がある。少なくとも、リーグ戦に出場していない選手が無条件で出番を得られるのはいかがなものか。それでは競争原理が働かず、本当の意味でのモチベーションアップとはならない。

チームとしてノックアウトステージ進出をあきらめていないのならば、連戦だとしてもリーグ戦メンバーを数名出場させるべきだろう。負傷を抱えている選手や負傷明けの選手、あるいは中澤佑二のような大ベテランは除外するにしても、出場できるメンバーは必ずいる。2週間後のアルビレックス新潟戦では勝ち点3が義務付けられる。そのためにどうするかだ。

もちろんこのままの方針でチームを編成し、試合に臨む可能性もある。すべては現場の最高責任者である監督が決めることだが、結果を完全に度外視した中での評価に意味はない。2週間後の新潟戦に注目だ。

 

 

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