「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

端戸 仁が「自信」という名の鎧を身にまとって帰ってくる (藤井雅彦) 

 

今オフ、端戸仁がマリノスとの契約更改交渉の席に初めて座ったのは12月14日のことだった。そして、その場でフロントに復帰要請を受けた。「北九州でのプレーを1年間見てきた。監督とも話して、来年(2013シーズン)は戦力として考えている」。

ギラヴァンツ北九州への期限付き移籍を決意したのがちょうど1年前。端戸にとっては同期でジュニアユース以降は年代別代表も含めて切磋琢磨してきた齋藤学が愛媛FCで結果を出すのを目の当たりにした直後だった。自らも出場機会を得れば結果を残せる自信があったのだろう。

かくして端戸は齋藤同様に結果を残すことに成功した。J2ながら39試合に出場して14得点を挙げた。シーズ途中からチームとしての完成度を高めたチームにあって、端戸は前線の核となる働きを見せた。この1年間を端戸はこう振り返った。

「最初は試行錯誤の連続で、試合に出ることで必死だった。でも夏前くらいからチームをいかに勝たせるかを考えられるようになってきた。そこが一番成長したところだと思う」

1年前、マリノスに復帰した際に齋藤が同じような趣旨の発言をしていたのを思い出す。齋藤や端戸のようにマリノスの育成組織で育った選手の能力は、やはり高い。J2クラブに移籍すると能力は際立つ。周囲からは優先的にボールを託され、ゴールやアシストを期待される。試合に出るだけでなく、結果を求められる立場に回る。と同時に、チームの命運の鍵を握る存在として、重い責任を背負う。齋藤は愛媛FCでの1年間を「とにかく自分が何とかしなければいけなかった」と苦笑いとともに懐かしげに振り返っていた。端戸も似たような状況だったのだろう。

だからこそ14得点の価値は計り知れない。サイドではなく、あくまでセンターラインでプレーし、攻撃センスを存分に発揮した。それだけではない。北九州の試合を視察に訪れた下條佳明チーム統括本部長は

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