「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

1トップで先発濃厚な伊藤翔は「プレーする選手が状況に応じて少し変化を加えれば膠着した状況を打開できる」と言葉に力を込めた[J11節 甲府戦プレビュー]

 

今週の練習グラウンドには『シンプル!!』というワードが幾度となく飛び交っていた。特にビルドアップを図るディフェンスラインや中盤の底の選手に対して、コーチングスタッフは厳しく要求していた。反対に、必要以上にボールを持つ選手には厳しい声が飛ぶ。全員が球離れ良くボールを回すことで、攻撃にテンポを生み出す。そんな狙いが見て取れた。

 練習と試合は大きく異なる。相手も勝つために必死にプレーする。ほんの少しのミスやズレが命取りとなり、相手はその隙を狙ってボール奪取を目論む。たとえば小椋祥平はマリノスのミスを見逃してくれないだろう。出足鋭く間合いを詰め、あっという間にボールを奪う。そこから繰り出されるヴァンフォーレ甲府のカウンターは脅威だ。

まずは安定して、なおかつスピーディーにボールを動かしたい。中盤の底には喜田拓也が復帰する見込みで、天野純とのコンビが復活する。どんなに苦しい状況でもプロらしい姿勢で受け答えする喜田は「連敗していることもあるけど、最近は根本的にサッカーを楽しめていない。一つ勝てば流れが変わるはず。チームとしては、苦しいときだから何ができるかが大事。そういうきっかけを作りたいし、作らなければいけない」と強く言った。

また、今週のトレーニングでは多くの選手をレギュラー組で試した。木曜日にはゲーム形式のメニューを3本行い、前田直輝をトップ下に据え、扇原貴宏をボランチに置き、栗原勇蔵が最終ラインに入る場面もあった。ここまでほぼ不動のSBにも手を入れ、山中亮輔が左SBを務め、金井貢史が右SBにスライドする布陣も見られた。予想フォーメーションは前節のスタメンを軸にしたが、途中交代も含めて選択肢は多く用意されている。ほとんど顔ぶれの変わらないスタメン組みに刺激を与える意味合いもあったのだろう。とはいえ連敗を受け、地殻変動の予兆は、たしかにある。

 

 

下バナー

 

 起用に関しては監督の決断がすべてだが、実際のプレーは選手次第だ。サガン鳥栖戦で中寄りにポジションを取った齋藤学の判断のように、練習中も選手たちの自発的な工夫が目立つ。今節も1トップで先発濃厚な伊藤翔は「監督が言っていることは基本的に大きく変わらない。でもプレーする選手が状況に応じて少し変化を加えれば膠着した状況を打開できる」と言葉に力を込めた。

3連敗は終わったこと。最大で勝ち点9を失ったわけだが、そのロスを取り返すためには連勝しなければならない。甲府から勝ち点3を奪取し、ベガルタ仙台戦で連勝を飾り、ゴールデンウィークの悪夢を払拭する。青写真を現実にするには、とにかく甲府戦での勝利が必須。何より、5バックで守備を固めてくる甲府ゴールをこじ開け、4試合ぶりのゴールを。

 

 

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ