「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

隠れた焦点 -黄金の守備陣の影で- 2013 移籍・補強・強化の真相 連載[4] (藤井雅彦) 

 

補強と起用法は密接に関わっている

 

時計の針を少し巻き戻さなければならない。

それは11月中旬過ぎのこと。青山直晃にヴァンフォーレ甲府から、それから少し経つと金井貢史にサガン鳥栖から、それぞれ獲得オファーが舞い込んだ。出場機会に飢える両選手にとっては、どのような決断を下すかとは別次元で、光栄な話であった。実際、青山は当時の心境を「ホッとした。必要とされるのは本当にありがたいことです」と語っている。清水エスパルスから完全移籍で加入して2年。満足な出場機会を得られずアピール不足は否めなかったのに、それでも自分を評価してくれるクラブがあったのだ。そこに安堵の気持ちを覚えるのも当然だろう。

また、金井にしてもドゥトラの加入によって出場機会が激減したとはいえ、出番が来た際の貢献度はとても高かった。正式オファーが届いたことで“自負”は“確信”へと変わった。やがてシーズンが終わり、天皇杯を残すのみとなったが、彼らはチームのために懸命にプレーを続ける。少なくとも、練習も試合も手抜きは一切なかった。チームの勝利のため、全力を尽くしてくれた。それでも彼らがオフに移籍を決断するのならば、複数年契約契約が終わる以上は避けられない流出だった。

クラブもこの状況に、ただ指をくわえて見ていたわけではない。誤解を恐れずに言うのなら、選手自身が移籍の道を選択する以前に水面下で有事に備えて補強に動き出していた。マリノスは早い段階からCBと左SBの補強を前提に他クラブや代理人に働きかけていた。

懸案事項となっていた左SBには、何人もの選手が候補として挙がった。最初に報道に名前が出たのはJ2・コンサドーレ札幌に所属していた

(残り 2175文字/全文: 2884文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ