「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

成長するためには、勝つだけでなく負けて学ぶこともある [J25節川崎戦レビュー]

 

 

 

 

 

負けは負けである。0-1も0-3も、あるいは打ち合った末の2-3も、すべて同じ負けだ。獲得できる勝ち点は、いずれもゼロ。スコアを気にするよりも、勝てなかったという結果をしっかり受け止めなければいけない。

とはいえ失点の内容を精査する必要はある。

 1失点目は相手のクロスがわずかに中澤佑二に当たっていたか。後方にいたミロシュ・デゲネクのクリアボールが大島僚太の足元に入り、ダイレクトで射抜かれた。簡単に決めたように見えるが、シュートを打つという決断力とコースを狙う精度が素晴らしかった。ミスであると同時に、相手を褒めるべき失点だった。

2失点目については、松原健のコメントを引用したい。「(エドゥアルド)ネットが来ていたのがわかっていて、スライディングしてボールをキープしようと思った。でもそれが上手くいかなくて、ボールを奪われてしまったシンプルに(中澤)佑二さんに戻してもよかった。そこは結果として自分の判断ミスと言われても仕方ない」。先にボールに追いついていただけにもったいない失点になってしまったが、中澤がシュートブロックできず飯倉大樹がコースを読み間違えた小林悠のミドルシュートは強烈である。

 

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最もいただけないのは3失点目だろう。相手が入れてきた浮き球のボールを処理したのはミロシュ・デゲネクだった。落ち着いてトラップし、つなごうとしたのは悪くない。しかしそのパスが中途半端な浮き球となり、受けた側の扇原貴宏は処理に手間取った。その隙を見逃さなかった中村憲剛はさすがである。そして飯倉との1対1を冷静に決めた家長昭博の技術と冷静さは秀逸と言える。

 川崎フロンターレはマリノスのミスを見逃してくれなかった。これまで対戦してきたチームは、ミスを犯してもシュートを外してくれた。あるいは飯倉のセーブで難を逃れてきた。この試合も1失点した後に阿部浩之のシュートを止めて追加点を許さないファインプレーを見せたが、すべての場面を防ぐのは不可能だ。相手から献上されたチャンスをきっちり決める。それが勝者であり、タイトルを争うチームだろう。

14試合負けなしのチームが15試合ぶりに黒星を喫し、5試合連続完封のチームが6試合ぶりに失点すると、その試合が今季ワーストの3失点となった。少なからず落胆して当たり前とはいえ、大切なのはここからの9試合だ。勝ち点差を見ても十分に取り返せる範囲で、この負けを肥やしにして次節以降を戦えばいい。

今のマリノスが成長するためには、勝つだけでなく負けて学ぶこともある。

 

 

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