「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

失敗をしても許される時期だが・・・ [練習試合 対ジェフユナイテッド戦] (藤井雅彦) +藤田インタビュー

 

【練習試合 ジェフユナイテッド千葉 リザルト】

時間:2月21日14時~
形式:45分×2本
スコア:1-2(1-1、0-1)
得点者:11分藤田(マリノス)、27分米倉(千葉)、78分大塚(千葉)

【一本目】 【二本目】

 

ジェフユナイテッド千葉との練習試合に臨む布陣は、前線が2トップ、中盤をダブルボランチで構成したオーソドックスな[4-4-2]であった。前回のザスパクサツ群馬戦と明治大戦ではトリプルボランチの[4-3-1-2]を試しており、この日の千葉戦では中盤の構成を変更して臨んだ。昨シーズン終盤に機能していた[4-2-3-1]は宮崎キャンプを最後に一度も組んでいない。その意図を樋口靖洋監督はこう明かしている。

「去年のベースが残っていることはキャンプで手ごたえをつかめた。先週から2トップにして、いくつかの形を試した。2トップはだいぶコンビネーションが上がってきたし、特徴もつかんできたと思う」

中盤の構成よりも、まずは2トップを試したかったことがお分かりいただけるだろう。マルキーニョスを軸に藤田祥史、あるいは端戸仁を起用し、ゴール前に厚みをもたせる狙いである。相手ゴール前へのクロスに対して、単純に枚数が増えることでゴールの可能性は高まるかもしれない。実際、千葉戦では中村俊輔の“珍しい”右足クロスに藤田が頭で合わせ、バーに弾かれたボールを再び詰めてゴールネットを揺らした。「今日の試合は藤田の良さを引き出すことができた」と中村は納得の表情を浮かべていた。

しかし、マリノスには質の高いクロスを蹴れる選手がいない。両SBのドゥトラや小林祐三が高い位置から高品質なクロスを提供する姿は想像しにくく、MF陣にもサイドアタックを得意とするクロッサーはいない。唯一、中村のみ左足で精度の高いクロスを入れることができるが、もちろん純然たるサイドプレーヤーではない。セットプレーでは1トップも2トップも関係ない。つまり千葉戦のような形でのゴールはとても稀少価値が高い。

一方の守備面はどうか。トリプルボランチではボールサイドへのプレッシャーが甘くなる傾向があっただけに改善ポイントは明らかだった。千葉戦ではサイドMFに中村と兵藤慎剛を配したが、このシステムの場合はどうしてもサイドで引っ張られてしまう。場合によっては最終ライン近くでプレーせざるをえない場面もある。すると中村の良さが消え、守備に忙殺される。トップ下でプレーしていたときの輝きを失い、ただのサイドMFになってしまってはチームのストロングポイントを消しかねない。

つまりは「何を捨てて、何を取るか」(中澤佑二)。2トップを優先すれば、どこかに歪みが出る。結果を出すために何が得策かを考える必要があるというわけだ。

システムや中盤の配置、あるいは先発選手を決める際、樋口監督には昨シーズン終盤のチームがベースとしてある。前記したように「すぐに戻せる手応え」があるため、いまは開幕前のテスト期間として使っている。失敗をしても許される時期だからだ。

一方で左足首痛で戦列を離れていた齋藤学は千葉戦の後半から出場し、無難なプレーを見せた。本人は「まだちょっと痛い」と話しつつも、まずは45分間プレーできたことが収穫だ。開幕9日前の時点で出場に目処が立っており、今後はボールフィーリングを上げていけばいい。昨シーズンほとんどを主力でプレーした選手にいまさらアピールなど必要ない。齋藤が帰ってくれば、システムはおのずと[4-2-3-1]に

(残り 786文字/全文: 2229文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ