赤鯱新報

【川崎Fvs名古屋】プレビュー:強調すべきは“堅守速攻の名古屋”という本来の姿。川崎Fの攻撃性の裏を突き、浮上のきっかけをつかむ一戦とせよ。

■2015明治安田生命J1リーグ 2ndステージ第11節
9月19日(土)川崎Fvs名古屋(19:00KICK OFF/等々力)
アウェイ観戦ルールについて(名古屋公式)
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つなぐか、カウンターかの二元論にはせず、しかし速さは強調する。勝利で苦境を脱出したい名古屋が意識すべきは、自らのストロングポイントを100%生かすための方法論ではないか。

サッカーで大事なのはバランスである。例えば攻撃にかける人数やポジション間の距離、布陣の高さや個人の攻守の意識に至るまで、はっきりとしたバランスが存在すればチームは一つになって動き出す。逆にそのバランスが悪ければ、あるいは崩れれば試合は劣勢に傾き、敗戦の確率が上がる。戦術とはそのバランスを指し示すものであり、ディテールへのこだわりがセンチメートル単位に及ぶ戦術家もこの世界には数多く存在する。そして指揮官には、戦術に選手を当てはめるタイプと、選手の特長から戦術を構築するタイプがいる。西野朗監督は後者である。

西野監督といえばどうしてもG大阪時代のポゼッションサッカーのイメージが強いが、乱暴に言えば当時のチームにポゼッション向きの選手が多かったから、そのスタイルを追求したにすぎない。現に名古屋ではポゼッションを志向したことは一度もなく、常に「堅守速攻」をキーワードとしてきた。「カウンター」ではなく「堅守速攻」という表現を使うのは、「カウンターに限らず、速く攻める。ボールを奪ったら速く正確にパスをつなぎ、相手ゴールに迫る」という狙いがあるからだ。今季の7月のキャンプの際にもそれは強調されたが、選手の側から「つなぐ意識も持とう」という動きが生まれ、そのバランスを取りつつ今日に至る。つまり現在の名古屋のスタイルは、「速攻が最大の武器だが、それ一辺倒にならずにつないでも攻められるチーム」ということになる。ゆえに遅攻からのフィニッシュは前節の仙台戦でも露呈したように目下の課題だが、速攻が自分たちの強みであることを忘れてはいけない。つなぐ意識はそのオプションとして、用意すべき要素である。

そのチームの真価が試されるのが、目前に迫った川崎F戦である。

(残り 1111文字/全文: 2013文字)

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