赤鯱新報

【名古屋vs湘南】レビュー:土壇場で見せてしまった“弱さ”が招いたJ2降格という現実。真の強さを追い求める戦いが、始まる。

■2016明治安田生命J1リーグ2ndステージ第17節
11月3日(木・祝)名古屋 1-3 湘南(13:33KICK OFF/パロ瑞穂/18,474人)
得点者:6’山田直輝(湘南)37’高山薫(湘南)50’シモビッチ(名古屋)60’山田直輝(湘南)
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前半20分頃だっただろうか。田中マルクス闘莉王が叫んだ。

「大丈夫!慌てんな!!」

短い言葉に込められた意味は深い。試合開始からの名古屋には、まずは冷静になることが必要だったからだ。自分たちを再び戦えるようにしてくれた戦術は何だったのか。監督交代から8試合で奪ってきた11の勝点は、どのようにして奪ってきたのか。それを忘れ、闇雲に攻め急いだ結果が敗北である。結果論ではあるが、名古屋が残留するためには勝点は1で十分だった。「勝たなければ残留できない」。積極性が裏目に出てしまったことでチームはまたも空転し、最悪の結末を迎えることになってしまった。

キックオフから名古屋の戦い方には違和感はあった。強い追い風と背中から聞こえる大歓声にも煽られるようにして、チームはアグレッシブに前に出た。それ自体は悪くないのだが、守備のリスクマネジメントの意識が希薄で、攻撃を仕掛けた後の動き直しが鈍い。「先制点を取りに行き、先制点を許さない」という基本的な考え方をもって臨んだ試合のはずが、名古屋の動きは攻めるばかりになっていた。しかも、その攻撃にしてもビルドアップつまり攻めるための基礎工事が済む前に選手たちはボールを追い越してしまうようなことが多く、インサイドハーフはすぐに3トップと同じラインに立ってしまい、それに引っ張られた布陣は過度に、まるでパワープレーのように押し上げることになってしまった。つなぐべき時につなぎ、相手を引き出して隙を突く。ジュロヴスキー監督が最初に選手たちに教え込んだ基本は、頭から抜け落ちてしまったかのようだった。

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