赤鯱新報

【2016シーズン全選手レビュー】田中マルクス闘莉王:7試合以上のインパクトを残した、名古屋を愛した闘将。


2ndステージ7試合出場(630分)

「一つ言っておきたいことがあります。重要な情報です。闘莉王が帰ってきます」

8月23日、就任会見の場でジュロヴスキー前監督が明かした時の驚きは忘れられない。発表したのが火曜日で、金曜日にはクラブハウスに彼はいた。地球の裏側、ブラジルからはドイツを経由して2日はかかる。しかも前々から予定していたならともかく、その週の月曜日に「来い」と言われて水曜日のフライトに飛び乗ったという経緯である。「なかなか家族に言うのも怖かったけど、ブラジルのみんなは元気で、日本のみんなは苦しんでいるから行く」という言葉からは、彼の名古屋に対する愛情の深さを思い知らされた。しかも出産間近の奥さんを残して、である。当然、出産には立ち会えず、初めて笑った瞬間も見ることができなかった。知人に「オレの子どもの写真見る?」と言っていた場に偶然居合わせたが、その時の柔らかな表情はまさしく父親のそれだった。そうした二度と立ち会えない瞬間を犠牲にしてまでも救いたかった名古屋が降格してしまったショックは計り知れない。

復帰してからの2ヵ月間は、田中マルクス闘莉王という選手の凄みとプロとしての経験をまざまざと見せつけられた期間でもあった。

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