赤鯱新報

【特別インタビュー】渡邉柊斗「僕はこの左足一本で生きてきた」第3回

名古屋に来季の加入が内定している渡邉柊斗は、“サッカーの上手な選手”である。
昨年11月、そして今年1月の練習参加を見て、誰もがそう思ったはずだ。
上手くて、巧い。それでいてハードワーカー。現代サッカーのトレンドにも合致している。
名古屋生まれの逸材はいま、タイキャンプで負ったケガの治療の折り返し地点を過ぎたところだ。
着々と歩む復帰への道の途上で、彼は何を思い、その左足に力を込めるのか。
今回は、間もなく生まれる“名古屋グランパスの渡邉柊斗”のあらすじを、お届けしたいと思う。

第2回はこちら

第3回:「憧れは断トツで中村俊輔さん。衝撃でした」

Q:タイキャンプで前十字靭帯の断裂。今までに大ケガの経験は?
「ないんですよ。ケガが少ない人で、そこが良いところだって言われてきたぐらいだったんです。高校の時にも、『ケガをしないのが柊斗の良いところだ』って言われていました。大学の3年生の時にはちょこちょことはあったんですけどね。腰痛めたりとか、総理大臣杯の時に手を骨折したりとか。でもこんなに大きなケガはなかったです。だから想像がつかなくて。だいたいわかるじゃないですか、前十字だったら8ヵ月とか。『オレ、ここから8ヵ月も休むのか』と思っても、考えられなかったです。1週間ぐらい、何も考えてなかったです。本当に真っ白でしたね。泣いてたかもしれない。ほんとこれからってところだったんですよ。グランパスで特別指定にしてもらって、Jリーグでも活躍して、大学でも試合に出て、という両立をして、自分は本当に充実の1年にするぞ、活躍しようって思ってたところだったんです。正月にもしっかりお参りしてきたりして(笑)。両方で、と。だからほんと悔しかったです。自分は早生まれだから東京オリンピックもギリギリ間に合う。プロで活躍して、代表にも入ってやろうって気持ちでいたから、本当に痛かった。もちろんオリンピックは今でも諦めていないですけどね」

Q:しかしケガをしてしまったからには、その間に取り組むことを作ったのではないですか?
「プラスに考えれば、自分はほんと華奢な身体をしていたので、今だなと。安原さんからも言われたし、まわりの選手や親、トレーナーからも言われました。今は肉体改造するチャンスじゃないかと。そこは変われたなといま感じる部分がありますね。復帰してプレーしてみた時に、どれぐらいやれるのかは自分が楽しみです。体重も4kgくらい増えました。上半身も下半身も、ケツ周りもしっかりやって、今やるべきだなと思ってやってきたことが、復帰後の楽しみになっています。特に当たり負けのところですね。攻撃では触られないようにしようとやってきましたけど、守備のところは何だかんだ取りに行くので、自分から当たりに行くには身体の強さが必要だなと思っていました。守備は大事ですし、そこに身体の強さは必要ですから、そこは継続して今もちゃんとやっています」

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