【高校サッカー特別企画】四日市中央工業・樋口士郎監督インタビュー 「僕は伝統という目に見えないものと、闘ってきたんです」
いよいよ今日12月30日から開幕する全国高校サッカー選手権で、東海の名将がラストステージを迎えることになっている。三重の名門・四日市中央工業高校の監督、樋口士郎氏である。過去に何人ものJリーガーを輩出し、全国の常連たる“四中工”のブランドを守り続けてきた指揮官は今年いっぱいでの退任を表明。そのキャリアにふさわしく、全国選手権を最後の舞台に次代へとその席を譲る。「遮二無二で来た24年間でした」。樋口監督の表情は実に晴れ晴れとしていた。今回は特別インタビューとして、最後の選手権とその濃厚なキャリアについて語ってもらった。
Q:まずは全国選手権に向けたチームの状況をお聞きします。
「そうですね、まず今年は県リーグなどもきちんと勝てていましたが、ここ2年は全国に行けていなかったけど県リーグは優勝していたり、練習ゲームなどもそこそこ戦えていたんです。それで完全に自信を失った状態でここまで来ていました。それが今回、全国という結果がひとつ出たことによって、選手たちが伸び伸び戦える雰囲気にはなってきましたね」
Q:キャプテンの山本龍平選手は3年生でFWからDFへのコンバートという大変な思いもしました。彼だけでなく選手個々の様子としては?
「そうですね(笑)。やっぱり選手たちは自信を失っていて、今まではミスしたらアカン、みたいなちょっと弱気なプレーが多かったんです。それが今はドリブルにしてもパスにしても前に前にという意識が強くなりましたし、結果が出たことによってすごくアグレッシブになった感じはします」
Q:ではそのチームで今回の選手権ではどのような戦いをしていこうと?
「もうとにかく伸び伸びやってほしい、イケイケでやってほしいと思っています。もう結局はね、選手たちが自分たちのやりたいことを思いきって出せるような形に持っていきたいなと」
Q:その点で出してほしいチームの持ち味や特徴というのはどこにありますか。
「攻撃陣に個で行ける選手がいますので、その個で行けるところを引き出すためにも山本含めDFラインが少し我慢しながら、前線のポテンシャルを後ろの3年生が引き出すために戦うという感じですかね」
Q:戦い方についてはピッチ内での修正や意思統一もはっきりしているように見えます。
「そこは山本があのポジションを受け入れて、彼がやってくれていることですね(笑)。それからDFでは中村健人という選手も元々はFWをやっていたんです。県予選ではFWだったんですが、彼を選手権ではコンバートしまして、ビルドアップ能力とヘディングの強さを後ろで生かすことができるようになって、いまチームの安定感が出てきました」
Q:一応お聞きしますが、今回の目標としては。
「まあやっぱり、四中工の悲願としまして“単独優勝”というものが関係者としてはあります(笑)。そこを目指してやっていこうと。合言葉はそれです。ただ、それでも1回戦突破だと思います。これは絶対に1回戦ですよ」
Q:樋口監督の長いキャリアの中で、大会を勝ち抜くための肝要になる部分というのはどこだと考えているのでしょうか。
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