赤鯱新報

【名古屋vs浦和】プレビュー:苦戦に見えた雌伏の時を経て。蓄えた地力を最高の形で発揮せよ。

■明治安田生命J1リーグ第11節
5月12日(日)名古屋vs浦和(15:00KICK OFF/豊田ス)
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どんな選手にもどんなチームにも、必ず好不調の波や成績の上下動はあるものだ。特に絶好調の時期はあまり長くは続かず、どこかで必ず揺り戻しがある。今季の名古屋は開幕から快進撃と呼べる戦いを続けてきたが、ここ1ヵ月はそうした観点からすればやや苦戦という表現が相応かとは思う。ただし、この苦戦は彼らにとってはそんなに悪いものではないようにも見える。この1ヵ月間、5試合でそれぞれ1得点しか挙げられていない事実は攻撃こそ命のリーグ最多得点チームにしてみれば紛れもなく不調だ。だが、5戦5ゴールで得られた8ポイントという勝点は決して少なくない。2位という順位は悪くないどころかかなり良い。つまり彼らはこの間、地力を証明し、また蓄えてもきたわけだ。内容面でも結果の面でも安定感を表現できるようになったその次は、質の高い試合をできるだけ増やしていくことである。いつも通りの名古屋らしい、ゴールの多い勝ち試合を、誰もがそろそろ望んでいる。

良い兆候はある。戦力が揃ってきたことはその第一だ。これまでは揃っていなかったということではなく、増えたというのが正確なところで、赤崎秀平や前田直輝がトップグループに追いついてきたのは朗報だろう。ともに水曜日のルヴァンカップC大阪戦で良い動きを見せ、前田は0-2の沈滞ムードをひっくり返す貴重なゴールも挙げている。ドリブル命の男がそこに迷いを感じてしまっていた序盤は言うなれば偽物の前田直輝がそこにいた。風間八宏監督も「直輝の場合は一番大事なのは考えすぎないこと」と話しているが、真面目で気にしいの実直さと奔放な突破屋の二面性を持つ彼という人間は実に面白い。プレーを選択するという作業に気を取られていた過去とは決別した今の前田はこの上なくシンプルだ。「ここ(目の前)はかわしてからでいい」というセリフは昨季に頂いた名言「目の前のソイツは抜いて当たり前」に通じる背番号25の人生哲学である。どうやらようやくではあるが、前田は復調の軌道に乗ったと見てよさそうだ。

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