【赤鯱短信】チームを支えるアーリアの献身。ベテランにこそできる“いい仕事”に、次節も期待だ。
そういえば、と思う。長谷川アーリアジャスールという選手の印象が、名古屋での2年間ですっかり“ハードワーカー”になったなと。大型の攻撃的MFで、得点能力の高さで日本代表にも選ばれたというのがそれまでのイメージだったが、彼が望んでか周囲の要請に応じてか、背番号9を背負いながらもプレーはあくまでチームのために黙々と。「年齢も上だからね」とは老け込んだからのセリフではなく、チームを勝たせる上で己を御することを覚えた、年長者としての自覚の表れだ。若手の時分に自由を与えてくれた先輩たちにならい、自分もその立場を務めるようになるのは組織の自然であり、アーリアほどの実力者がそれを意識するのは必然とも言える。
神戸戦の勝因を、前田直輝の先制点に求める向きは多い。豪快なシュートのインパクトはそれ自体が大きく、チームを素晴らしく勇気づけたのも間違いのないところだ。そしてまた、誰もが思うのが前田にパスを残したアーリアの執念である。コーナーキックが競り合いで逸れ、ゴールラインを割ろうかとする瞬間に彼が足を伸ばしたからこそあのチャンスは生まれた。「後ろに前ちゃんがいるのは見えていた」。しかし何かを意図したわけでもなかったともアーリアは振り返る。無意識に、そして自然にボールを追いかけたというワンプレーには、チームプレイヤーとしての自覚が込められていたようにも思えた。
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