赤鯱新報

【クラブニュース】コロナウイルス感染拡大防止の観点から、7節広島戦が延期に。Jリーグとの合同記者会見の模様。

本日7月26日、アウェイで行われるはずだった7節広島戦が、名古屋グランパスに2名の新型コロナウイルス感染症陽性判定が出たことで延期の判断が下された。当日午前8時よりJリーグの村井満チェアマンと名古屋グランパスの小西工己社長らによる協議が行われ、決定した。決定の決め手となったのは宮原和也の陽性判定を受け行われたチーム約60名のPCR検査から、新たに渡邉柊斗とスタッフの計2名に陽性が出たこと、そしてその濃厚接触者の特定が試合開始までに困難ということだった。村井チェアマンは名古屋の対応については「クラブとして大きな瑕疵があったわけではないと認識しております」と発言し、昨夜のうちに済ませた現地への移動についても妥当としている。

陰性と判断された選手のみで構成されたチームで広島入りした名古屋だったが、Jリーグの規約によるところの「いわゆる濃厚接勝者の認定や入国制限地域からの入国等により、公的機関から自宅待機等の指示を受けている状態でないこと」というエントリーにおける判断基準が大きかったようだ。その前提をした上で、「公式試合を行なうチームがエントリーする時点においてJリーグ登録している選手に、新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けた者または第13条第3項第3号に定める状態の者が存在する場合、または存在することが見込まれる場合、当該チームが行う公式試合の開催可否の判断は、以下各号の定めに従う」という条項に基づく判断をしたことになる。それはGK含む14名を揃えられるか、という条件に関わるものであり、濃厚接触の疑いがある選手が不明な以上、14名が揃うか分からない。そこに現地での運営リスクを掛け合わせて、今回の中止の判断はされたということだ。

今後の名古屋はさらなる対策徹底をしつつ、8月1日の次節に向けて準備をし直していくことになる。小西社長は「明日、PCR検査を全員に行ないます。31日のJリーグ一斉の検査の前にも、また複数回、ピッチを刻んで安心、安全を確認した上で8月1日に全力で臨みます」と検査についてもかなりの比重をもって行なうとし、これ以上の感染者が出ないよう気を引き締めていた。再開後の好調と前節での負傷者続出で混乱もあったチームに降りかかった再び、三たびのコロナ禍。名古屋グランパスはウイルスとの戦いもその活動の核に含みつつ、今後も慎重な歩みが求められている。

村井満Jリーグチェアマン、小西工己名古屋グランパス社長による説明および質疑応答

村井満Jリーグチェアマン
「村井でございます。休日にもかかわらず、お忙しい中での急なご案内にもお集まりいただきましたこと、まことに申し訳なく思っております。今朝、8時よりわたくしJリーグチェアマンと、小西社長、そして専門家の医科の先生も交えて情報の共有と、今後の対応への協議を行いました。まずは少し、事実関係について時系列でお伝えしてまいります。

すでにご案内のように、宮原和也選手が検査の結果、陽性であることが24日に判明しました。23日に発熱し、そこで検査をして判明したというのは既に公表されておりますことです。クラブとしてはこうしたチーム内に陽性反応の選手が出たということで、ほぼ総数60名のPCR検査をクラブの判断で行いました。そうしたところ、2名、渡邉柊斗選手とチームスタッフが1名陽性であることが昨日25日の時点で判明しております。逆に言えば58名が陰性だったということです。そしてチームが本日アウェイの広島でゲームがある関係で、広島へ向けては陰性である17名(選手16名、スタッフ1名)が向かっているという状況でありました。

そうしたステータスの中で、本日朝8時からの協議となりました。最終的には、いわゆる濃厚接触者の特定は名古屋市の保健所の管轄となっておりますが、今日の夕方から夜にかけて濃厚接触者の判定が出るということでした。仮にですが、広島に移動している17名は陰性ではありますが、この中に濃厚接触者がいるとすれば、確実に安全という状況ではなく試合を行う可能性があったものですから、朝の段階での協議でこの試合においては中止としようということになった次第でございます。

一連のプロセスについてチェアマンとして評価しているわけですが、まずは7月17日の公式検査、直近の公式検査が第3回となるわけですが、今回の3名含め全員に対し適切に検査が行われたと確認しています。またこの3名も、行動管理、いわゆる健康管理ですね。濃厚接触を避けるような生活およびトレーニング、試合運営を施していたという認識がありますので、クラブとして大きな瑕疵があったわけではないと認識しております。ただ今回の新型コロナウイルス感染症の非常に難しいところは、こうした厳格な行動管理をしていても、可能性ですけども7月17日以降にこの3名はなにがしかのルートで感染したと思われるわけです。状況は本人に感染の責はあるわけではなく、新型コロナウイルスの難しさを改めて再認識する次第となりました。

幸いにもこの3名は現状で平熱、そもそもが渡邉選手とスタッフについてはまったく自覚症状がない状態で、チーム全体がPCR検査を行なう中で自覚症状なしで陽性が出ているわけでありますが、3名は自宅で静養している状況と認識しております。ですからまず今回のPCR検査の段階において、クラブは適切に対応をしたと認識しています。宮原選手の陽性反応が出たあと、速やかにクラブの判断でPCR検査をするという判断をしたということも妥当であると認識しています。また、試合開催においては陽性判定者が出た場合、ガイドラインではGK1人を含めた14名が用意できるのであれば、なるべく試合開催に向けて努力すべきと定めていまして、クラブは陰性である判断をしたうえで17名を広島に送っていますので、クラブはその点でもガイドラインに基づいた行動をしています。そのまま、今日のリーグとの協議の中で、濃厚接触の判定タイミングから今回の試合は行わないことを確認しました。

今後は、チームの状態を注視しながら、次の8月1日の試合に向けての準備をしていくということ、そして中止した試合の代替日程に関しては速やかに、状況を注視しながら判断していきたいと考えている次第であります。改めて、公式検査を始めてから、その公式検査の結果ではありませんが、チームの中から陽性判定が出ているということで、引き続き、しっかり感染防止対策をしていく必要があると認識した次第であります」

小西工己社長
「名古屋グランパスの小西です。昨日に続き本日も、大変急なご案内を申しました。また皆様に多大なる心配をおかけしましたこと、誠に申し訳なく思っております。クラブで実施しましたPCR検査につきまして、新型コロナウイルス感染症の陽性判定者が出ましたことについて、私からご報告させていただきます。

皆様にもニュースリリースが届いていると思いますが、渡邉柊斗選手の新型コロナウイルス感染症の陽性判定についてです。表記の件、7月25日に実施したPCR検査の結果、渡邉柊斗選手とトップチームスタッフに新型コロナウイルス感染症の陽性反応が出たことが確認されましたのでお知らせ申し上げます。

渡邉柊斗選手の経過、症状でございますが、7月21日(火)、チームトレーニングに参加。この時の体温が36.6℃。そこから記載の通り、25日まで平熱、無症状ということでトレーニングを行なっておりました。PCR検査を25日土曜日に実施しまして陽性判定。トレーニングはリハビリのため、選手たちとは全て別メニューでした。

続きましてトップチームスタッフの経過、症状でございます。7月21日火曜日、チームトレーニングに参加。体温は36.7℃。以降はやはり渡邉と一緒で平熱、無症状ということでございます。22日水曜日、J1第6節トリニータ戦、23日木曜日、大分から名古屋へ移動。そしてその後、チームトレーニング参加。24日金曜日、チームトレーニング参加。そして25日土曜日チームトレーニング参加、ということになっております。そして25日にPCR検査を実施しまして、その結果陽性判定となりました。

渡邉選手およびトップチームスタッフにつきまして、宮原選手との濃厚接触者には該当しておらず、直近2週間の行動履歴を確認しましたが、練習参加以外は基本的に渡邉選手はクラブの選手寮、トップチームスタッフは自宅で生活し、必要な買い物等外出は最低限にとどめていました。現状2人とも体調に異常はありませんが、渡邉選手は選手寮内で隔離。トップチームスタッフは自宅で、それぞれ静養しております。また、2人の濃厚接触者につきましては、現在保健所とともに特定を進めています。

本日は先ほどもチェアマンからお話ありましたように、Jリーグ第7節、サンフレッチェ広島さんとの試合日でございましたけれども、トップチームから新型コロナウイルス感染症の陽性者3名が出たことを受けまして、リーグプロトコルに従い、14名の登録選手で試合に臨める方法を最後の最後まで探りましたが、本日陽性反応の出ました3名との濃厚接触者がはっきりせず、特定が試合開始直前になってしまうことも予想されたため、やむなく14名の登録が難しい旨をJリーグ様に説明し、協議させていただいた次第であります。その結果、先ほども説明がありましたように、試合の中止とのご判断を頂いた次第です。私からは以上です」

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