赤鯱新報

【クラブニュース】名古屋グランパスが繰り出す次なる二つの試み。「テレワークスタジアム」と「au 5G 体感シート」を見てきました!

横浜FCとの第5節が開催される本日3月17日の試合前、豊田スタジアムではチームが打ち出した新たな試みが報道陣に向け公開されていた。「テレワークスタジアム」と「au 5G 体感シート」はどちらもそれぞれの意味で今の時代を反映した試合日のスタジアムの新たな可能性を探るもの。その様子をのぞいてきたので、今回は簡単ではあるがレポートする。

テレワークスタジアムのロケーションはこんな感じ。場所が高いのでまだ風が強く肌寒いところもある。

まず「テレワークスタジアム」である。これは試合当日のスタジアムの記者席を時間限定で一般開放し、普段とは違うテレワークの環境を提供しようというもの。19:00キックオフの今回は8:30から記者席が開放され、16:30まで使用できる。記者席は机付きであることはもちろん、電源も引かれており、会場にはもともと観戦者用のフリーWifiも使用可能ということもあり、筆者も普段、試合後のオンライン会見などを行なっているので仕事環境としては大きな問題はない場所。来場者のひとりに話を聞いてみたが、「仕事には全然問題はありませんよ。ネット環境もそうです。ちょっと今日は寒いけど(笑)、でもこの眺めは最高ですね」と笑顔で感想を語ってくれた。

スタッフにも話を聞くと、午前中から使用していると青々としたピッチの芝を眺めて仕事ができるだけでなく、普段は見ることのできない会場準備の様子がうかがえて楽しかったとか。グラウンドキーパーたちが真っ直ぐに芝を刈っていく作業は見事だったそうで、「その間は仕事が手につかなかったです」とニヤリ。ゴールの設営やその他グラウンドの環境作りの様を気分転換の材料に、いつもとは違う仕事運びをするのも面白そうだ。トライアルの意味もあった今回は54名の申し込みがあったそうで、利用者それぞれが思い思いの時間に来て仕事をこなした。座席は飲食も許可されており、席近くにはホットドリンクがもらえるサービスカウンターも完備。今後の開放は未定だが、試合観戦日にテレワークを予定しているサポーターには、一石二鳥の良企画に思えた。


そして「au 5G 体感シート」の方だが、これはもう未来感満載の企画である。昨年にも「新しいスタジアム観戦体験」としてリアルタイムチャットや自由視点映像などを駆使した観戦企画が実施されていたが、今回は戦略的イノベーションパートナーシップを結ぶauの全面協力のもと、ARを使った新たな観戦スタイルの提案がその趣旨。具体的にはメインスタンドに用意された専用の席でARグラスや5Gスマートフォンを使い、目の前に広がる試合のピッチに付加情報を交えながら観戦しようというものだ。

こちらは「au 5G 体感シート」の様子。このARグラスをかけてピッチを見ると、様々な付加情報込みで試合を観戦できる。


専用の5Gスマートフォンの画面。かなりクリアにピッチとARが組み合わさって表示される。

小型化が進んだARグラス、あるいは5Gスマホを通してピッチを見ると、そこには対戦情報やメンバー表、フォーメーション図など試合に関わる情報が現実の視界に重なって表示される。試合前にはキックターゲットなどのカジュアルゲームなどを行なうこともでき、まだそこまでサッカーに集中できないお子様などにもスタジアムを通した楽しみを提供する。ARを通したスタジアムには飛行船が飛んでいたり、グランパスくんが踊っていたりと見るだけで楽しいものも多く、「より多くの人にサッカーを知ってもらう」というスタッフの意図が感じられた。

試合前に楽しめるキックターゲットのゲーム。キックオフ前の楽しみだけでなく、会場内でランキングを競ったり、その結果で何か特典を得られたりと、今後の展開が期待できる機能だ。


これは熱中しそうである…


ここから良いシュートが打たれました、という表示。ちょっとした見落としなどもARの情報がしっかりフォローしてくれる。


誰にイエローカードが出たか、など、ピッチ内で起きている事象を説明してくれる機能は便利そうだ。


メンバー表の表示も現実のピッチにこうして反映されてくる。


メンバー表の表示も現実のピッチにこうして反映されてくる。


ゴールするとエフェクトが。この画面では簡素だが、実際は花火が上がったり紙吹雪が飛んだりとかなり派手にピッチが彩られる。このスマートフォンに表示された各情報は、ARグラスを通した景色にも反映される。

試合が始まれば画面には、ARの特徴を生かした仕掛けが豊富に出てくる。例えばオフサイドの笛が吹かれるとオフサイドラインがピッチに現れたり、シュートやFK、CKの地点が表示されたりもする。ゴールが決まれば派手な演出効果が視界いっぱいに展開され、リアルの興奮をさらに盛り上げてくれること請け合いだ。担当者によればまだまだ改善の余地は多いとのことだが、Jリーグ公式のスタッツを試合中に表示させたり、様々な情報を観戦しているその場で見た目に反映していけるのは今までになかった体験である。筆者もARグラスごしにピッチを見てみたが、オフサイドラインの表示などは特に未来感たっぷりで楽しいものだった。

ARについては今後は専用席だけでなく、サポーターの端末でどの席からの視点にも対応したものにしていくことも考えられているようだが、解決すべき課題もまた多い様子。まずは今回のトライアルで多くの感想や意見を得て、次なる発展に期待したいところだ。昨季に発表した「スマートスタジアム」構想はまた一歩前進をしたわけで、次は何が実現されるのか楽しみでもある。名古屋が取り組む二つの試みはどちらも別ベクトルながら実に意欲的。興味のある方は、クラブからの続報にアンテナを張っておくことをお勧めする。

最後に。ふと見るとテレワークの邪魔?いや激励に来たグランパスくんに遭遇した。


我々の取材も労ってくれた。


今日は必勝だがね…と言ってたような気がする。

reported by 今井雄一朗

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