赤鯱新報

【2021シーズン前半戦総括】快進撃と失速のコントラスト(前編)勝因は“リスク回避”。守備一辺倒ではない勝ち方。

2位のチームに“失速”とは似つかわしくない言葉かもしれない。だが、そう感じてしまうほどの快進撃を、今季の名古屋は見せていたとも言える。10戦無敗、連続無失点時間のリーグ記録を更新した守備力と、高い確率で決勝点を奪える粘り強い攻撃。しかしその記録が途絶えて以降、チームはどこか不安定さを払拭しきれずに次の10試合を闘ってきた。次の10戦は3勝1分5敗。あまりに対照的な20試合は今季の名古屋の長所も短所も色濃くにじむ。優勝争いのメインキャストとして駆け抜けた前半戦。その内実を今一度振り返る。

1.勝因は“リスク回避”。守備一辺倒ではない勝ち方。


無駄なリスクを負わない。これが名古屋に通底する一つの哲学と言える。堅守のチームはこの世に数あれど、その質やなぜその戦い方を選んでいるかの方向性は千差万別。そこに特徴のある選手が揃っているから、守備をまず完璧にしたい監督だから、攻撃よりも守備を優先すべき戦力だから。今季の名古屋の戦力ならばいわゆる“弱者の兵法”は当てはまらず、攻撃陣も充実している。であれば指揮官の考える勝つための方法論が守備を大事にする理由だと考えるのが妥当なところで、そこで念頭に置かれているのが徹底したリスク排除ということになる。守りを優先しているのではなく、危険性の回避が最優先。この二つの考え方は似ているようで少し違う。

それはチームが守り方として常に目指しているのが、できるだけ前でボールを奪うということからも理解できる。自陣に、バイタルエリアに、そしてゴール前に城壁を築くようなリトリートばかりがイメージされがちな名古屋だが、それはあくまで状況がそうさせているだけというのが本当のところだ。

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