赤鯱新報

【赤鯱探訪】田中輝希編②「栃木シティのことを、もっと全国的に知ってもらいたいんです」

栃木シティFC MF
田中輝希
(2011~2015 名古屋グランパス所属)

大器、というイメージがぴったりの選手である。2011年、一つの絶頂期を迎えていた名古屋グランパスに世代屈指のプレーメーカーとして鳴り物入りで加入し、多くの期待を背負ってプレーした。左サイドでボールを持てば、独特のリズムでドリブルを刻み、カットインからチャンスを生み出す。ケネディ不在時にゼロトップとして得点をマークし、玉田圭司らと素晴らしい活躍を見せたことでも記憶に残っている方がいるかもしれない。2015年に名古屋を契約満了となった後はJ2の長崎、そして地域リーグのおこしやす京都を経て現在は関東リーグ所属の栃木シティFCでプレーする。気づけば29歳、もう29歳かということで思わずコンタクトをとったことからトントン拍子に進んだ今回の探訪、何とも懐かしい気持ちでついつい友人感覚で話してしまったのはご容赦を。しかし田中はまだまだ野望を抱いてプレーしていることをまずは伝えておきたい。地域からJへ。男の今をお伝えする。

田中輝希編②「栃木シティのことを、もっと全国的に知ってもらいたいんです」

Q:イメージは左サイドでボールを持って、視野をとってカットインからスルーパス、シュート、ですから。それはそれであるんですよね?
「攻撃の時には自分の持ち味を出すようには心がけてます。それを活かしつつ監督に自分が何を求められているのかなどを考えてプレーしてますよ」

Q:ポジションはどこをやることが多いのでしょうか。
「今は基本的には左サイドですけど、チーム状況によってはFWやったり、直近の試合は右サイドで出たり。今は転々としていますね。でも基本的には、去年1年間は左でした」

Q:FWといえばワントップ、ゼロトップの田中輝希に良い印象を持っている方も多いかと思います。
「FWを改めて考えると、たまたまかもしれないけど名古屋で点を取ったことがあったじゃないですか、2試合連続で(2013年リーグ5節、6節)。あの時は何かFWできていたな、と思うんですけど、改めてタマさんとかズミさんとかに、ものすごく助けられていたんだなって思いました。すごく生かしてくれていたんだなって実感しますね。自分1人ではなにも出来なかったんだなとほんと改めてあの人たちには感謝したいです、生かしてくれていたんだなって実感しているので(笑)」

Q:自分がそういう、活かす側に回ることは、年齢的にも増えてきていますか。
「そうですね。だいぶ、このチームでもだいぶ上の方にはなってきているので、そういう部分での役割を、後輩たちにはしてあげたいなとは思います。常に自分のことだけでなく、チームのことを考えるようになりました。そういう部分でのやりがいを今はすごく感じていますね」

Q:29歳ですもんね。
「…ねえ?(笑)」

Q:田中選手が名古屋にいた頃の29歳というと、小川佳純さんとかですかね。
「ズミさんですね。僕の10歳上なので、ちょうどそのくらいです」

Q:あの頃の自分は29歳をどう見ていましたか。
「名古屋の先輩選手たちは本当に距離近く接してくれていたので、全然年の差を感じなかった、と言うと失礼になるのかもしれないけど。それほど仲良くして頂いていたので、本当に感謝しかないです」

Q:今回の取材で調べ物をしていたら、とちぎテレビの特集を目にしました。いわゆる“地決”のことなども。今年は相当に接戦のようですね。
「そうなんです。厳しい状況です。(取材時点で)残り3試合なんですけど、ライバルチームがこの前ひとつ負けて、それで1位、2位、3位、4位までがけっこう熾烈な順位争いになっていて。直接対決もあるんですけど、この3試合が本当に勝負です。勝点1でも厳しいかもしれない、地決の舞台へ行くには本当に接戦になってきています」

Q:地決の噂はかねがね聞きますが、実際の感覚としてはいかがですか。
「去年の地決はですね、チームも選手たちにもかなり勢いがあったんです。リーグ戦も負けなしでしたし、日程的にはすごくきつかったけど、充実感がすごかったです。3日連続で試合ってなかなか経験できないんですが、自分も身体どうなるんだろうと思いましたし、でも試合ごとに身体が動くようになっていって。これは何かすごい、逆にエネルギッシュになっていくような(笑)、勝ちたいって気持ちが強いと、身体って動くんだなって体感しました。最後は結局ズミさんのところ(ティアモ枚方)と戦って、そこで1点でも取れば…ズミさんたちは引き分けでも良かったんですけど、最後の最後は得失点の差で昇格できなかったです。どこにでもズミさんが関わってくるんですよね…苦笑」

Q:そして小川さんは今JFLで活躍中です。
「ちゃんと環境が整っていれば、昇格できる順位にいますからね。本当すごいですよ!」

Q:田中選手たち栃木シティは今年こそ、の想いでやっていると。
「今年こそ、ですね。何年か越しの想いなんですけど。チーム名が“ウーヴァ”の頃からそうでしたし、僕としては3年目でも栃木シティとしては4年かかっているのかな。昇格のためにみんなが努力しているのでね。たくさんの方にも栃木シティのことを知っていただきたくて。もちろんJリーグのチームそうでしょうけど、地域リーグだからこそいろんな人に知ってもらって、いろんな人の協力があって、じゃないと本当に成り立っていかないんです。もちろん栃木県民の方たちもすごく大事ですが、やっぱり全国の皆さんに“栃木シティFC”を知ってもらえたらって。僕も何年ここにいられるかはわからないけど、愛されるチーム作りをスタッフ選手全員の力でしていきたいです。この記事を読んで数人の方でも栃木シティを知って頂けたら嬉しいです」


Q:ではここで話を変えて、名古屋時代の思い出話をしていきましょう。吉田眞紀人選手と一緒に高卒で加入してきた時、吉田選手はものすごくしっかりしていたけど、田中選手はふわっとしていました。
「僕はふわっとしてましたね(笑)」

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