秋田サッカーレポート

J2第20節【ブラウブリッツ秋田 vs SC相模原】プレビュー「鈴木」

 

J2第20節。14位の秋田は6月26日、最下位の相模原とホームで対戦する。今季ともにJ2に昇格した同期の2チーム。上のステージでの生き残りをかけて試合を重ね、リーグ戦の折り返し目前で相まみえる。

秋田がなんとか勝率5割付近で踏みとどまっているのに対し、相模原は苦しんでいる。リーグ戦は無得点で6連敗中。第13節の町田戦はスコレスで引き分けたが、最後の勝利は第10節の千葉戦までさかのぼらなければならない。

この状況で相模原は5月31日、チームを初めてのJ2昇格に導いた三浦文丈監督を解任。後任に注目が集まる中、6月5日の第17節以降は高木琢也新監督が指揮を執っている。それでも一転攻勢とはならず、高木監督就任後も3連敗中だ。

だが「相手チームの過去のデータは、われわれには一切関係ない」と吉田謙監督は断言している。たとえば松本山雅や山形など、これまでも秋田戦を迎えるまで調子が上がらないチームとの対戦はあった。だが結果は1敗1分。秋田としては過去ではなくいま。目の前の相手に勝たなければならない。

一方の秋田のチームにも大きな動きがあった。6月24日、鈴木準弥のFC東京への完全移籍が発表となった。

鈴木は昨季秋田に加入。中学時代の恩師である吉田謙監督のもとで、[4-4-2]で不動の右SBとしてJ2昇格に大きく貢献。CBをこなせるほどの対人の守備強度があり、攻撃時は右SHの沖野将基と連係し、秋田の右サイドからの攻撃を厚くした。鈴木の高精度のクロスとロングスローは秋田の強みとなり、J2の舞台でも1ゴール4アシスト。数字もさることながら、なによりもひたむきにチームのために戦う姿勢が観ている側に伝わってきた。

前述のとおり戦力面では大きな痛手だが、鈴木はすでに決断した。周囲にできることは、これまでの貢献を称えて送り出すこと。そしてこれからの活躍を応援することだ。

相模原戦後、鈴木の挨拶がある。同じようにJ1の横浜FCにステップアップした韓弘康はシーズン終了後だっただめ、こうした場が設けられなかったと思われる。だからこそ、サポーターはもちろん、秋田加入時に「サポーターに愛される選手になりたい」と話していた鈴木にとっても区切りを付けられるだろう。秋田は目の前の1試合を勝つために全力で戦っている。相模原戦ではそのモチベーションに、勝って鈴木を送り出す要素が加わった。これまで以上にスタジアム一体でチームを後押しして、必ずや勝利を掴み取りたい。

(残り 2414文字/全文: 3499文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

1 2
« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ