スカウティングコーチ堀部寿貴「やってやれないことはない—。〝敬意と謙虚さ〟大切に」インタビュー【無料記事】
安齋HCは知将
―堀部さんから見て、安齋HCはどのようなコーチですか。
一言でいうと、知将です。プレーヤーで培った感覚と、勤勉さから生まれる発想の転換が斬新でとても面白いです。また、予想だにしない事を相手が仕掛けてきても迅速に対応しているので、準備をものすごくしている方だと思います。
このチームはポテンシャルが高い選手が多いので、チームで戦わなくても何とかなるシーンもあるんですけど、そういう時に引き締める技術というか、そうやってチームの流れを読む力もすごいです。人間性もかなり高くて、気配りができる人です。いろんなところを見ながら、何かあれば選手に寄り添ったり、スタッフと話したり、いろんなセンサーを張り巡らしている方ですね。
竜三さんは何でも自分でやるタイプの人なので、一人で頑張っていたと思うんです。だから僕が今以上に竜三さんの意見を聞いて、質問して、それをチームに落とし込んで…。そうやって、より竜三さんの考えを理解して、もっとサポートができたらと思っています。
―稲垣ACはいかがですか。
稲垣さんは、ものすごく勉強熱心で行動力のある方です。今もアメリカのキャンプに行っているんですけど、いろんな人とのつながりを持っている方で知識も豊富です。
稲垣さんが一番やりたいのはスキルアップの面だと話していたんですけど、本当にいろんなスキルを知っていますし、選手のニーズに合わせた技術を毎回のワークアウトでやってくれています。 昨シーズンで言えば、遠藤選手のフローターは稲垣さんが教えていましたし、喜多川選手のリハビリメニューもかなり細かく見ていました。
去年の夏は、稲垣さんがいろんなスキルをチームに落とし込んでいたので、どの選手も知らなかったようなことを知れたんじゃないかなと思います。選手にはいい刺激を与えていただいていると思います。
―昨シーズンの終盤からチームに加わった町田ACについては、これから知っていくという感じでしょうか。
そうですね、本当に真面目な方で、物事に対しての突き詰め方や探究心がものすごくある方です。チームに加わったばかりの頃は、ほとんど寝てなかったんじゃないですかね。それぐらい集中してチームのことを学んでいました。
町田さんが加わったことで、それぞれの仕事の質も上がるでしょうし、選手一人一人に割く時間も作れると思います。スカウトの部分でも、僕が知らなかったようなことも教えていただいているので、これからいろいろと学んでいきたいです。
オフシーズン中はベース作り
―先日チーム練習がスタートしました。今シーズン、自分の中で掲げるテーマはありますか。
昨シーズンのスカウティングは材料が少なく、効率が悪くて、そのせいでスカウティングの質が下がってしまったので、今シーズンは材料をたくさん持ち、その中でもより良い部分を選手に落とし込めるようにしていきたいです。そのためにも、この時期にベースを作って、シーズンに入ったらそこにプラスすればいいように、今はそのための型づくりをしています。
―最後に、将来的な目標があれば教えてください。
アンダーカテゴリーを見たいというのが目標です。僕が大学に入った時、落合コーチはヘッドコーチ(HC)1年目で、すぐに結果は出なかったんですけど、3年目に全国大会(インカレ)で3位まで上り詰めました。能力で劣っていてもバスケットのやり方次第でそこまでいけるんだということを、学べた経験になりました。
いろんなバスケットがあるので工夫次第でどうにでもなるし、低い年代にも行き詰まってしまい、バスケットボールが嫌いになる、興味がなくなってしまう子たちがいて、そういう子たちにいろんな引き出しを教えてあげたいという思いを持つようになりました。 それもあって、日本のトップのカテゴリーでは何が行われているのか、今後、何が必要になってくるのかをきちんと理解して、それを後々、下のカテゴリーに落とし込みたいと思っています。
―今日は、ありがとうございました!
スカウティングコーチ 堀部寿貴さん