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ストレングス&コンディショニングコーチ 畝挟孝洋「強くなるのに近道なんてない」インタビュー【無料記事】

 

アメリカ人とは体付きがまるで違う

―こういう仕事に興味を持ち始めたのはいつ頃だったのですか。

高校の時です。アメリカって、シーズンごとにいろんなスポーツをするので、僕もサッカーをやって、バスケをやって、陸上をやって…という感じでいろんなスポーツをやっていました。でも、体付きがまるっきり違うので「これはダメだわ」と(笑)。それでトレーニングを始めたのがきっかけです。

トレーニングをやり始めた時に、「こういうのが日本にもあれば面白いな」って思ったんです。こういうことを高校や大学からやっていれば、もっと日本のスポーツもフィジカルが強くなるだろうなって。そこから興味を持ち始めて、大学と大学院で運動生理学を専攻し、トレーニングをすることによって体にどのような変化が起こり、選手のパフォーマンスが上がるかを主に勉強しました。

 

―大学卒業後は、そのままアメリカで就職したのですか。

大学卒業後、一旦日本に帰ってきました。大学で勉強していたストレングス&コンディショニングコーチという仕事で生活したいのかがはっきりしていなくて、2年くらいはいろいろなことをしてました。ほかに自分が好きで夢中になれることがあるんじゃないかって探してました。

 

でも、「やっぱりやりたい」という結論が出た、と。

やってみて嫌だったら、またほかのことを探そう。せっかく大学で勉強したことなので、とりあえずやってみればいいやと思って、東京にストレングスコーチやトレーナーを大学のスポーツチームや高校の部活に派遣する会社があったので、そこで3年間務めました。その時に、「やっぱりこういう仕事が好きだな」と気付きました。やっていてすごく楽しかったですし、もっと深く勉強したいなと思って、その後、アメリカの大学院に入り直しました。

 

―迷っていた割には、すごい入り込み方ですね(笑)。

そうですね(笑)。大学院に行けば深く勉強できるので、もっと勉強したいなという気持ちだったんです。アメリカの大学スポーツは各チームにストレングスコーチが常駐していて、大学院に通いながらその大学のストレングスコーチとして勤務して、女子サッカーを担当していました。でも、僕はバスケが好きだったので、NBAで仕事ができたらいいなっと思っていたんですが、僕が仕事を探していた時期はNBAのオフシーズンだったので、インターンという形でも空きが全然ない状態だったんです。だったら大学で有名なところを探そうと思って、その時にふと頭に浮かんだのがノースカロライナ大で。ノースカロライナ大いいなって(笑)。

 

―募集は出ていたんですか。

募集はしていなかったのですが自分で売り込みました。今ではNBAで普通に使われているテクノロジー、例えば、選手の走行距離や加速減速した回数などいろいろとパフォーマンスにかかわるデータが取れるトラッキングシステムやフォースプレートと言ったテクノロジーを使って選手のパフォーマンスをモニタリングする方法に運動生理学を交えながら大学院で勉強していて、実際に女子サッカーチームでも使っていました。

当時はいろいろなプロチームや有名大学のチームも導入してはいたんですが、どのように分析して、そのデータをどういった形でトレーニングや練習に使えばいいかが、今ほど確立されていなくて。ノースカロライナ大学のバスケットボールチームでも導入はしていたんですが、実際にはうまく使いこなせていなかったようで、それの経験や知識を売り込む材料にして、連絡をしたら面白いということで、まず3カ月ぐらいノースカロライナ大学の男子バスケにインターンで雇ってもらえたんです。そこで気に入ってもらって、インターン終了後にアシスタントストレングスコーチとして1シーズン過ごしました。

その後は、ビザの関係でアメリカには残れなくて、僕の話を大学院の教授から聞いた台湾にある代表選手をトレーニングする施設から声を掛けてもらい、そこで1年間過ごしました。台湾では、プロテニス選手と一緒にツアーを周っていて1年過ぎた頃というのが、ちょうど子供が生まれるタイミングだったこともあって、日本に戻ることにしました。

ノースカロライナ大では、2016年の NCAA トーナメントで決勝まで行った経験やノースカロライナ大出身のNBA選手やヨーロッパで活躍する選手のオフシーズンのトレーニングをさせてもらった経歴があるので、バスケで何かできないかなと思っていたら、人伝てにブレックスがストレングスコーチを探しているというのを聞いて…という感じです。

 

いいバスケ選手である前に、いいアスリートじゃないといけない

―これまで、サッカーやテニスなど、いろんな競技の選手を見てこられましたが、競技によって違いは感じますか。

スポーツの特性ということも、もちろんあるんですけど、基本的には体を見るのが仕事なので、そんなに違いはないですね。いいバスケ選手である前に、いいアスリートじゃないといけないので、フィジカルを上げてあげる、強くしてあげる、高く飛べるように、早く走れるようにしてあげるという感じで、運動能力を高くしてあげることが僕のメインの仕事なので、このスポーツしかできないというわけではないです。

 

―この仕事のやりがい、面白さを感じるのはどんな時ですか。

やはり勝つことが一番面白いですし、選手が活躍しているのを見るのが一番楽しいです。遠藤(祐亮)くんがベストファイブやベストディフェンダーに選ばれたり、(山崎)稜やハッシー(橋本晃佑)が試合で活躍し始めると、やっぱりうれしいし、ほかの選手も試合に出て結果を残すことはすごくうれしいです。

 

 

 

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