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ストレングス&コンディショニングコーチ 畝挟孝洋「強くなるのに近道なんてない」インタビュー【無料記事】

 

常にやり続けることが大切

―選手から、「こういうトレーニングがしたい」というように要望があったりもするのですか。

基本的には僕が考えたメニューをやってもらって、何か要望があればメニューに組み込む形にしています。

 

―トレーニング以外の質問をされることもあるのではないですか。例えば食事のこととか。

確かに食事のことは聞かれるんですけど、中途半端な知識で答えるのはあまり良くないと思っているので、安易な発言はしないようにしています。もちろん、分かっていることに関してはちゃんと答えます。例えば、コンディションやパフォーマンスにかかわる栄養に関しては分かっているのでちゃんとアドバイスします。ただし、それ以外の栄養に関しては分かっている範囲で「こういう考え方もあるよ」というように、いくつかの例を出したりはしますが、専門外のことなので「絶対にこれだよ」とは言わないように気を付けています。食事のことなら栄養士に聞いた方が間違いはありませんから。

 

―この仕事をする上でのこだわりなどはありますか。

僕は、トレーニングはシューティングと同じだと思っているんです。シューティングも試合でいい確率で入るようにするためにはやり続けなければいけないと思います。それと同じでちゃんとトレーニングすればフィジカルのレベルは上がりますし、逆に、やらなければ落ちます。強くなるのに近道なんてないので、常にやり続けるしかありません。週3回試合があった時でも、量や強度は調節しながらも、絶対やらせるようにしています。だから、この仕事におけるこだわりがあるとすれば、徹底的にやらせること。常にやり続けることです。

 

 フィジカルを上げていかないとダメ

―ここ数年で選手の体つきがだいぶ変わってきたという印象があります。やはり、トレーニングをやり続けた成果が形となって出ているのかなと思います。

僕は海外にいたので、海外のバスケット選手がどれだけトレーニングをして、どれだけフィジカルが強いかということも、ある程度分かっているつもりですし、そこを上げていかないとダメだとも思っています、特に代表の選手は海外の選手と試合をするので。やっぱり勝ちたい、強くなりたいという気持ちはどの選手もあると思うんです。そのために、僕が選手のためにできることは少しでもフィジカルのレベルを上げて、ほかの選手に負けないようにしてあげることだと思っています。

 

―実際にトレーニングをしたことで、新たな気付きもあるでしょうね。

日本だと、ウェイトをがっつりやるという感覚が、まだあまりないですよね。それなのに、いまだにサッカーもバスケも、「フィジカルが問題」と言われている。もともと才能があり、手足が長い能力のある海外の選手がめちゃくちゃトレーニングしているのに、欧米人より手足が短くて、筋力的にも劣っているアジア人がトレーニングを全くやらなかったら、やっぱり太刀打ちできませんよね。だから、常にやり続けることが大切なんだと思います。

 

―チームに来たばかりの頃は、やはり海外と比べてあまりトレーニングしていないという印象はありましたか。

ありました。

 

―でも、丸2年が過ぎて、だいぶ変わってきたと感じますか。

そうですね。最初はトレーニングが習慣化されていなくて、常にウェイトをやり続けるということはなかったと思います。なので、シーズン中でも関係なしにやり続ける習慣を付けようと思って取り組みました。オフに入ってからは、それをさらに強化しようという気持ちでやっています。

試合のスケジュール上、どうしても難しい部分はありますが、僕もこのチームに来て3年目になって、自分がやりたいと思っていることはある程度できてきたなと感じます。当然、僕自身も勉強し続けてステップアップしなければいけないので、オフ中には海外に勉強しに行き、得てきたものを、またチームに還元できるようにしています。

 

―これまで、さまざまな国でいろんな方と仕事をしてきたと思いますが、印象に残っている出会いや影響を受けた教えなどはありましたか。

その時々で、いろんな方から勉強させてもらいました。大学院の教授や、ノースカロライナ大学でお世話になった上司のヘッドストレングスコーチにも、何かあるといまだに連絡を取って相談したりもしています。あとは、サンロッカーズ渋谷のパフォーマンスディレクターの吉田さんは、NBAのサンアントニオ・スパーズにいた方なんですけど、僕と地元が一緒で、大学院も一緒なので、めちゃくちゃ仲良くさせてもらっていて、吉田さんからもいろいろと教えてもらっています。基礎的な勉強やエビデンスに基づくトレーニングの重要性、科学の世界と現場を繋ぐために必要な経験の重要性、そして常に勉強し続けること、探究心を持ち続けることの重要性、この3つはこの3人から学びましたし、ストレングスコーチとしてほんとに重要な3つだと思っています。

 

―将来的な展望や目標があれば教えてください。

将来的な話ですが、いかにユース世代の選手を育てるかということや、ストレングスコーチの育成にも興味はあります。でも今はブレックスの仕事をめちゃくちゃ楽しんでやっているので、具体的にいつからって決めているわけではないです。

僕は、優勝の次の年からブレックスに来たので、やっぱり優勝したいですね。そのためにも、できるだけいい状態で選手が試合に臨めるように準備してあげて、竜三さん(安齋HC)がやりたいバスケットができるような状態にしてあげることが大切だと思っています。僕の仕事って、選手やチームのためにやっているものなので、目標と言ったら優勝することなんですよね。そのためにもできるだけケガをせず、全員そろった状態で試合に臨ませてあげたいです。

 

宇都宮ブレックス ストレングス&コンディショニングコーチ 畝挟孝洋

 

 

 

取材を終えて…

畝挟さんのお話は、学生さんなどにぜひ読んでもらいたいと思いました。スポーツに関わる仕事ってたくさんあるし、その仕事に就くまでの経緯も本当にさまざまで、何がきっかけになるか分かりません。畝挟さんの場合は、中学生の時に「こういうオプションもあるよ」とアメリカ行きを提示してくれたお母さまの言葉がきっかけとなり、その後の世界が広がりましたが、その後アメリカの大学院に入り直したり、行きたいと思ったところには自分で売り込みをしたりもしています。常に学び、チャレンジする姿勢は素晴らしいですよね。ブレックスでも、ますますの活躍を期待しています!

 

 

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