バスケットボール・クラッチ

ブレックス藤本光正社長「アリーナは地域の豊かな文化に触れる機会をつくる装置であり、街を活性化するためのもの」インタビュー・後編

株式会社栃木ブレックス代表取締役社長 藤本光正氏

 

前編に引き続き、藤本社長インタビュー後編をお届けします。後編は、新B1リーグに向けてや、気になるアリーナについての思いを聞きました。(文・写真/藤井洋子)

 

スポンサーは成長傾向

—チームをサポートする企業は多岐にわたると思いますし、おそらく何かしらコロナ禍の影響を受けていると思うのですが、スポンサーの変動はいかがでしたか。

一部、業態によっては大変な苦境に陥ってしまい、今シーズンはお休みというところもありますが、トータルで見ると減っているというより、むしろ増える傾向にあります。本当に、ありがたいとしか言いようがないです。

言葉として多くいただくのは、「こういう閉塞感のある鬱々とした時代だからこそ、ブレックスには頑張ってほしい」、「地域の人たちにパワーを与えてほしい」、「そのためにスポンサーはやめないよ」という企業さまが多く、幾度となく励ましの言葉を掛けていただきました。これは全国的にも同じようで、Bリーグ全体でも、ほかのチームでも、スポンサーは成長傾向にあるようです。

 

―栃木県内の企業に取材に行くと、ブレックスのスポンサーをしている企業が多いことにあらためて気付きます。同時に、「最初は興味がなかったけど、試合を観たら面白くなっちゃって」と話す方が非常に多くて驚きました。

バスケットはその要素が強いですよね。試合も、演出も、雰囲気も、トータルで楽しめるので、その辺もバスケの武器だと思います。スポーツファンじゃない人でも好きになる、意外と「スポーツなんて全然」と言っていた人がはまったり、スポーツ好きではない層が入ってきやすい競技性はありますよね。バスケットは選手の顔もよく見えますし、「イケメン」という切り口で入ってくる人ももちろんウェルカムです。ブレックスのファン層も60%くらいが女性です。

 

―お話しを聞いていると、厳しい状況ではありますがマインドとしてはこれまでと変わらず「BREAK THROUGH」を掲げて前向きに…ということですね。

たまたま苦難が降りかかっていますが、今までも自ら高いハードルを設定し、「BREAK THROUGH」を掲げてあらゆる壁を乗り越えてきました。今回は、そのハードルが自分たちで設定したものではなく、自然と向こうからやってきてしまったものではありますが、その高いハードルを乗り越えることは、マインドとしてはこれまでと何も変わりありません。

 

新B1リーグに向けて

 —少し先の話になりますが、2026年からスタートする新B1リーグ(通称プレミアリーグ)については、どのように見ていますか。

位置付けとしては、現在のB1B2の上に事業規模、戦力ともにトップクラスのチームを集めたプレミアリーグのようなものを「新B1」として作るということが発表されています。エクスパンション型ということで、一定の参入条件を満たし続ければ落ちることがない、つまり昇降格がないというNBAと同様の仕組みです。

細かい部分はこれから正式に決まっていくと思いますが、参入条件としてすでに決まっているのが、「売上12億円以上」「入場者数平均4,000人以上」「アリーナ要件」の3つです。ブレックスは売上と入場者数の条件は現時点でクリアできていますが、「アリーナ」の条件がネックとなります。

具体的には、アリーナの利用スケジュール調整を自由にできることや、VIPルームなどのホスピタリティ設備を備えるといった条件が示されているのですが、それらの部分は今は満たせていません。新B1への参入を見据えて、そこをなんとか解決する方策を考えなければいけないというのが、中長期で一番大きな課題です。

 

—方策としては、自前のアリーナを造るというのが一番なんでしょうが…。

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