バスケットボール・クラッチ

渡邉裕規「賢くプレーの選択ができるように」インタビュー

コート上で選手たちがハドルを組むシーンは、試合中にたびたび見掛ける光景だが、その輪の中心で、身振り手振りで声を掛ける選手がいる。ブレックスで言えば、田臥勇太、ライアン・ロシター、そして渡邉裕規。この3選手のいずれかの顔が浮かんだのではないだろうか。今回は、プレーと言葉で、常にチームをまとめるバイスキャプテン・渡邉裕規に、シーズン前半戦の振り返り、後半戦に向けてチームに必要なことなどを聞いた。(文・写真/藤井洋子)

序盤は15勝1敗

今シーズンのブレックスは、11月までは151敗という見事な数字を残すなど、概ね順調にきている。そうした中でも、ちらほらと黒星が出始めたが12月。この時期は、水曜試合やアウェー戦が続いたこともあり、ブレックスは122日の川崎ブレイブサンダース、6日の大阪エヴェッサ、13日の滋賀レイクスターズ、27日のシーホース三河に敗戦。

渡邉は、「全体としてはいい感じできていると思いますが、アウェーで勝ちきれなかったことが反省としてあります」と、これまでの試合を総括した。

 「今シーズンは大阪戦や滋賀戦など、1試合目に良い試合をしても2試合目にちょっとしたことで崩れてしまうことがありました。接戦にもならない試合というのは、毎シーズンどうしてもあるのですが、今シーズンもそうした試合があったので、そこは反省点だと思っています」と振り返る。

 

 1戦目に負けた相手が、ホームで2連敗はできないと、気持ちを入れて向かってくることはよくあることで、選手たちも十分準備はしているはず。だが、そうした相手の気持ちの変化に対処できずに負けてしまうこともあり、「1試合目に良い試合ができた後だっただけに、2試合目の負けが非常に残念」と感想を述べた。

 さらに、「この時期はチームの雰囲気としても自信を失くしているような感じだった」と、その頃のチーム状況を打ち明けた。

「今シーズンは勝ちに慣れてしまっているから、一度負けると落胆したり悲観的になったりして、そういう雰囲気が練習や試合に出てしまうことがありました」

 

 

そんな時は、渡邉や田臥など、“そういう役割り” をチームからもらっている選手が積極的に声掛けをした。

「過去にはもっとしんどい時期があったので、12月の敗戦も、僕としてはある程度受け止められていたのですが、自分たちで『あ~、ダメだ』と思ってしまっている雰囲気があって、それが試合に出ていることもあり、良くないなと思っていました。

そういう時は、プレーの質を変えるということではなく、考え方を変えるだけでいい。でも結局、12月の頭に負けていたことが修正できないまま2020年が終わってしまい、何となく後味が悪い感じがありました」

 

渡邉の中では、それを打開する答えはすでに出ていたようだ。

「今まで勝っていた時にはどうやっていたのかということを、しっかり思い出せばいいだけだと思っていました。

点が伸び悩んでいて、でも、まだ10点ビハインドというような状況ならまだまだ追い付けるのに、単調な攻めになってしまったり、残り3分で点差を詰めてもまた離されてしまったり。何をすればいいのかが分からないという、もったいないことが多かった。

負けた試合は、途中で粘り強さがなくなっていたのは確かです」

 

 

 

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