バスケットボール・クラッチ

町田洋介AC×佐々宜央AC対談 ~ACが語るブレックスの現在地~

34勝8敗でリーグ首位(3月19日現在)という好成績を残しているブレックス。今シーズンの好調の要因は何なのか。また、この戦績をAC(アシスタントコーチ)はどのように見ているのだろうか―。選手の成長が見えた部分や、そのためにどのような努力やサポートをしてきたのかなど、ACだからこそ見える・言える選手の頑張り、チーム状況、目指す方向性、HC(ヘッドコーチ)や選手との関わり、ACとしてのこだわりなどをざっくばらんに語ってもらった。(文・写真:藤井洋子、取材日:2月22日)

 

 宇都宮ブレックス 佐々宜央AC(左)・ 町田洋介AC(右)

 

307敗(2月22日現在)という現時点の戦績について、どのように受け止めていますか。

佐々 僕たちは毎試合毎試合必死でやるだけなので、結果的に30回勝っていて、7回負けている。これについて皆さんがどういうふうに思っているのかが逆に気になります。

町田 僕らは順位や勝敗だけで観ていないので、評価は難しいですね。ただCS(チャンピオンシップ)を1位で迎えられる位置付けにいるという部分は良いんじゃないかと思います。だからと言って、この後もこの順位が補償されているわけではないですが。

佐々 今年のリーグって本当に難しい状況ですよね。ファンの皆さんからしたら、「千葉に2連勝した試合は良かったよね」とか、「アルバルク東京に2連勝した試合はすごかったよね」と言ってもらっている人もいると思いますが、今シーズンはお互いにハイパフォーマンスでやれている試合が少なくて、千葉にしてみればあの試合はあまりよろしくない状況だったと思うし、逆にブレックスはそんなに悪くないという状況の中で勝てました。

A東京戦も、向こうの状況が良くなかったり、ほかのチームとの対戦も選手がケガをしたり、外国籍選手が欠けていたり、やっと戦力がそろってきた状態だったりという中で、序盤はブレックスが15勝1敗でしたが、正直、それは何も評価になりません。

琉球ゴールデンキングスに勝っている2勝も、信州ブレイブウォリアーズに勝った試合も、相手の外国籍選手が欠けている中で僕らが勝っているわけで、勝ち星というのはあてにならないと思います。ブレックスのパフォーマンスも、そこまで高いとは言えませんでした。

 

―外国籍選手がそろっていない中で勝っているので、本当の強さが図れないというのは、ファンも同じ印象だと思います。

佐々 サンロッカーズ渋谷戦もそうでしたね。向こうは2人選手が欠けていて、こちらもライアン(ロシター)がいないという状況。どこの試合を観ても万全な状態で試合をやり切れていない。みんな探り合いながら最後のCSにどう持って行くか、チーム力をどう底上げしていくかというところではないかと思います。

ブレックスにとっても、本当に難しいシーズンだと思います。核となる比江島(慎)がケガをしてしまったり、ライアンが欠場したり…。それは “たった3試合” だったかもしれないですが、“されど3試合” で、その3試合も勝つためにやらなきゃいけないし、そのためにはガラリと考え方を変えなければいけないわけです。そういった意味では、どこのチームも難しいシーズンに直面しているのではないでしょうか。

町田 試合に負けると修正しなければいけない部分が身に染みたりもしますが、なんだかんだ勝っている中で、良くしていく作業というのは、その必要性も含めて伝わりきらなかったという部分はあります。そういうことが勝敗以上に大きいのかなと感じています。

 

役割りとチームとしての戦い方

―アウェーの2戦目になかなか勝てない時期(昨年12月頃)もありましたが、そういう時期は選手たちにどのように接していたのですか。

佐々 川崎ブレイブサンダース(12/2)、大阪エヴェッサ(12/6)、滋賀レイクスターズ(12/13)に負けるという状況が続き、その時に出てきた課題は、A東京戦(12/1920)で解決されました。

その前週に、自分たちの目指すオフェンスが明白に出来なくなった時期があり、いわゆる “個人で走ってしまう” ということが続いていました。そうした中で、「ブレックスの強さは何なのか」「こういうオフェンスで戦っていくのがブレックスだよね」ということを明白に出来たのがA東京戦でした。だからこの試合が、それまでの課題を解決できた試合だったのは確かです。

でも、シーホース三河の2試合目(12/27)にそれを失ってしまいました。それが今シーズンの課題です。いい時はその流れでいけるけど、追い詰められるような試合になると感情的になってしまい個人に走ってしまう。三河戦の2試合目もそういう形になってしまいました。選手たちもそれは分かっているのですが、役割りとチームとしての戦い方は、もっと具体化しなくちゃいけない、という状況があります。

 

―“具体化しなくてはいけない状況” というのはどういうことですか。

佐々 以前にもお話しましたが(参照:http://www.targma.jp/b-clutch/2020/09/09/post3711/)、個人がやりたいバスケットと、チームがやりたいバスケットを一緒にすることは難しいプロセスがあります。それをどれだけチームのやりたい方向性と同化して持っていけるかということです。それは、“自己犠牲” という言葉になると思いますが…。

A東京戦で一度シュッと狭まって、そこからもう一段階、より深くそこに入っていくということが、なかなかできていないというステップです。

町田 コーチ側の立場で言えば、あの時期は、相手にどう対処するのかという部分を学ばせてもらえた期間でもありました。大阪戦、滋賀戦辺りは僕がスカウティングをしたのですが、1戦目はある程度うまくいったけれど、それは “うまくいった風” で、2戦目は相手へのアジャストや、本来止めなければいけないところを止められませんでした。

「滋賀はこういう特徴があるよね」ということを抑えていたつもりでも漏れていた部分があって、それが1戦目には表面化していなかっただけで、2戦目で表面化してしまい、こういうところも特徴として捉えておかなければいけないんだということを学びました。

当然、負けていいわけではないですが、僕もまだ経験が浅いので、コーチ側としても学びのある期間でした。そういう意味で、コート上でうまくいっている・いっていないということだけではなくて、準備の部分でも必要なことがあったと思っています。

 

 

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