川本梅花 フットボールタクティクス

【無料記事】取材は「ケーズデンキスタジアム」より

取材は「ケーズデンキスタジアム」より

今季注目したチームは、水戸ホーリーホックである。水戸が加入する明治安田生命J2リーグ戦も第34節を迎えた。僕は行われた試合全てを見ている。スタジアムに行ける時は記者席から、スタジアムに行けない時は自宅の居間のTVで試合を観戦する。

10月2日(日)、僕はケーズデンキスタジアム水戸の記者席にいた。第34節・モンテディオ山形戦[1〇0]はとても興味深い一戦となる。この試合は、第32節の清水エスパルス戦[1●2]で失敗したシステム変更の「リベンジ」になった。

清水戦は、試合終了10分前に西ヶ谷隆之監督の采配が裏目に出てしまう。「4-1-4-1」のシステムに変更して守備バランスを壊すことになった。そうした戦いを踏まえての山形戦となる。1-0でゲームをこのままフェードアウトしたい西ヶ谷監督は、清水戦と同じ「4-1-4-1」を採用する。清水戦の崩壊劇が頭をよぎる。しかし、目の前で展開されたシステムは、完璧なハーモニーを奏でていた。

試合後、何人かの選手に「4-1-4-1」のシステム変更について話を聞く。

まずは細川淳矢に語ってもらった。

「映像でも練習でも落とし込んでもらったんです。紅白戦でも手応えはあったので」

次に久保裕一が話してくれる。

「清水戦の1トップは、自分自身は(守備に関して)迷いはなかったんですが、結果的に2点奪われて逆転負けをしてしまったので、そう(迷いがあったように)見られても仕方ないです」

最後に西ヶ谷監督の談話。

「選手は意外と忘れてしまうんです。その前の何試合かで(4-1-4-1は)やっていたので、こっちとしては(システムが)切り替わった瞬間にできるものだと、イメージ的にはできるものだと思っていたのです。(試合後に)選手とコミュニケーションを取った時、われわれスタッフが思っていることと、選手が思っていることにズレがすごくあったので、そこをトレーニングして擦り合わせてやりました」

「その前の何試合」とはどの試合を指すのか。監督と選手のイメージのズレとは何なのか。対清水戦から対山形戦までの、試合終了間際のシステム変更のストーリーをフィクション(半分ノンフィクションで半分は筆者の想像した物語)にして、後日届けたいと考えています。

川本梅花

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