川本梅花 フットボールタクティクス

【無料記事】取材は「ケーズデンキスタジアム水戸」より

細川淳矢「イケメン説」を読み解く

2017年Jリーグプレシーズンマッチとして行われた「いばらきサッカーフェスティバル2017」が、2月11日(土・祝)、ケーズデンキスタジアム水戸で開催された。茨城県を代表する2つのクラブ、水戸ホーリーホックと鹿島アントラーズが対決するイベントだった。試合は、0-3でホームに鹿島を迎えた水戸の敗戦となる。試合内容については、いろいろと述べたいことはあるが、それは別の機会に譲るとして、このコラムでは、試合後の「ぶらさがり」と呼ばれる選手への囲み取材中にあった「やり取り」について話したい。

ベテランのDFとして今季は全試合フルタイムの出場が期待される細川淳矢選手との会話を紹介したい。佐藤祥選手の話を聞いていたら、すぐそばで細川選手の「囲み取材」がやられていた。佐藤選手への取材を切り上げて、記者の質問に受け答えている細川選手の横に立ち、レコーダーを右手に持って、やり取りを録音しながら話を聞き始めた。ある程度の話が終わって、僕が細川選手の顔をのぞいた時に、どことなく精悍(せいかん)な顔つきに見えた。相当に体を絞って開幕に照準を合わせているのか、それとも逆に、風邪なんかをひいてコンディションを崩しているので、ほほが痩(や)せこけて見えるのか。そのどちらかなんだろうと思った。いずれにしても、昨季にレギュラーの座をつかんだ自信なのだろうか、とても凛々(りり)しく僕の瞳には映った。そこで僕は、ちょっとおどけて、細川選手にこう切り出した。

「なんか、顔つきが精悍になったね」

「そうですか」

と、少し照れながら答える。

「なんか、イケメンぽくなったね」

「ははは、『ぽく』ですか」

そう言って、細川は笑う。すると、美人のレポーターがすかさず言葉を挟んでくる。

「細川さんはイケメンです!」

全肯定した彼女の発言に、「そうかもしれないんだけどね」と、心の中で僕は一拍を入れた。

実は、「細川イケメン説」には、昨季の僕とあるサポーターとのやり取りが前提にあって、それに細川選手が答えたというストーリーが背後にあるのだ。まず、11日の試合後、帰りの電車の中からTwitter(ツイッター)に投稿したツイートを見てほしい。

https://twitter.com/kawamoto_baika/status/830327534814236672

このツイートに対して、水戸サポーターの電子つんどく(@tundoc)さんがこのような問いかけをしてきた。

電子つんどくさんが述べた「遠くから見ると…」が「細川淳矢イケメン説」の真相を明らかにしているのである。昨季、電子つんどくさんが「細川選手は遠くから見るとイケメンなんだよね」という内容のツイートをされていた。僕は、彼の投稿に対して、「本人にそれを聞いてみますよ」と返した。実際に、細川選手と電話で話をしていて、僕は電子つんどくさんのツイートを思い出す。細川選手に「あるサポーターが、細川選手は遠くから見るとイケメンに見える説を唱えていたよ」と伝える。すると彼は、「それよく言われるんですよ。近くから見ると『ブサメン』だねとか」と笑って答える。

まあ、個人の主観がその対象者の美を決定するのだから、細川選手が「イケメン」なのか「ブサメン」なのか、それこそどちらとも言えてしまえるのである。

兎(と)にも角にも、細川選手は昨季、すごく成長した。「30歳過ぎてもサッカーってうまくなれるんだ」と、僕に知らせてくれたのが、細川淳矢というサッカー選手だった。僕は彼を、応援している。頑張れ! 淳矢。

川本梅花

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