『J番記者による大忘年会2017』~タグ祭り!~12/18渋谷で開催

川本梅花 フットボールタクティクス

【言葉のパス】第4回:再出発を誓って―伊藤槙人が“原点”を取り戻すために旅立つ―

【言葉のパス】第4回:再出発を誓って
―伊藤槙人が“原点”を取り戻すために旅立つ―

プロローグ

水戸ホーリーホックに加入していた伊藤槙人が、2017年7月25日に藤枝MYFCへ期限付き移籍をした。藤枝は、2014年にJ3リーグに加盟している。今季の成績は、8月5日時点で7勝4分け6敗、9位につけている。直近5試合を見れば、4勝1分けとチームは上昇機運にある。静岡県出身の伊藤にとって、子供の頃から馴染(なじ)んだ気候の中で、心機一転してプレーできることは大きな意味がある。藤枝への加入コメントでも、出身県のクラブでのプレーを楽しみにしているようだ。

http://myfc.co.jp/news/20170725/19386/

水戸ホーリーホックから加入しました伊藤槙人です。チャンスをくれたチームと大石(篤人)監督にとても感謝をしています。出身地でもある静岡のチームでプレーできることを光栄に思い、チームに貢献し藤枝の勝利のために全力を尽くすので応援よろしくお願いします

伊藤は、2016年にジェフユナイテッド市原・千葉から水戸に移籍してきた。加入初年度、シーズン当初は、スタメンで試合に使われている。しかし、徐々にベンチを温めるポジションになってしまう。そのシーズンは、リーグ戦18試合に出場したのだが、今季は2試合にとどまる。水戸の基本フォーメーションは「4-4-2」となっている。伊藤が試合に出るには、4人のDFのどこかに食い込まないとならない。センターバック(CB)が本職の彼は、サイドバックもこなせる。しかし、水戸で期待されたポジションはCBだ。水戸のCBには、福井諒司と細川淳矢がレギュラーとして不動の地位を築いている。さらに7月17日、コンサドーレ札幌から大型DFとして期待されている永坂勇人が移籍してきた。

シーズン途中における伊藤の期限付き移籍は、彼が置かれた状況を見たら、試合に出るためには当然の選択である。今回掲載するインタビューは、2016年のシーズン当初、伊藤が試合に使われていた時期に取材をしたものである。伊藤がなんらかの活躍をした時に公開をしようと準備していた原稿だが、伊藤が藤枝に移籍をする今回、掲載することにした。なぜなら、プロ1年目に千葉を解雇されて、合同トライアウトで西ヶ谷隆之監督に評価されて水戸に加入した伊藤が、もう一度、水戸へやって来た時の気持ちを思い出してチャレンジをしてほしいと考えるからだ。伊藤は、DFとしてのポテンシャルに期待できる選手である。再出発を誓って、藤枝でプレーヤーとして、1人の人間として、大きく成長をしてもらいたい。

ノンフィクションのカテゴリーにある本サイトの「言葉のパス」は、物語形式をとっている。今回は、伊藤槙人の声を届けることを主体にして、インタビュー形式で掲載することにした。

1年間で終わったジェフ千葉時代

――まず、ジェフユナイテッド市原・千葉に加入した経過を教えてくれますか?

伊藤 大学生の時に、夏にジェフから「練習にこないか?」と呼ばれたんです。本来なら2日間練習参加することになっていました。1日目が練習で、2日目が試合だったんですが、試合がなくなってしまったんです。1日間の練習で評価されることになった。ジェフからの結果を待っていたんですが、ジェフがプレーオフに進出するので、「終わるまで待ってくれ」と話されました。で、返事は「ダメ」でした。行くところがなくなってしまったので、「サッカーを辞めて就職活動をしよう」と思っていたら、2月になって、再び「練習に来てくれないか」と声を掛けられました。そこで評価してもらって、契約してくれたんですけど、1年で普通にクビになってしまいましたね。

――なんでクビになってしまったんですか?

伊藤 自分のプレーで……。やっぱり一番の理由は、プレーでのアピール不足だったのかなと思います。チャンスはもらったんです。何度かベンチ入りさせてもらいました。「こいつをこれから使っていこう」と思わせることができなかった。能力不足だったかなって。「もっと育てていきたい」と思わせられなかった。それが全てです。

――具体的に、何がダメだったんですか?

伊藤「何が?」っていうと、やっぱり……試合で……なんだろう……もっとこう、自分から「しゃべっていく」というか。DF同士でのラインの問題だったりですね。

――コーチングの問題ということですか?

伊藤 はい、コーチングもあります。もっと「自分はこういう選手だ」っていうのをアピールできなかった。

――それは、どういう時に思ったんですか?

伊藤 いやもう、思ったというより、ジェフでの1シーズンを終えて、先輩から言われたんです。「お前は、もっとしゃべろ」って。自分ではやっていたつもり、だったんですけど、プロの中では足りなかったんです。

――助言をしてくれた先輩は、誰だったんですか?

伊藤 ぐっぴーさんって呼んでたんですが、GKの岡本(昌弘)さん。(佐藤)勇人さんと話した時は、「お前はいい(プレーヤーだ)と思うから、声を出してもっとアピールしなよ」って言われたんです。

――ジェフをアウトになった時は「なんで俺が?」って思ったんですよね。

伊藤 そりゃ、思いましたよ。

――「1年間で結果を出せない」ということで、契約更新されない。見切りが早すぎるような気はします。ただ、「プロの世界」として見たら、クラブも難しい決断だったかもしれませんね。

伊藤 自分的に思ったことは、「プロの世界はこういうもんだから」ということです。結果が出たなら、それはもう仕様がない。次をどうしようって思いましたね。

水戸ホーリーホックでの再起

――それで、合同トライアウトを受けたんですね。トライアウトで、水戸からオファーがあった。

伊藤 そうです。トライアウトが終わって、水戸から話がありました。

――選択肢として、東南アジアとか、海外挑戦しようとは考えなかったんですか?

(残り 4245文字/全文: 6670文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ