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川本梅花 フットボールタクティクス

【ラインメール青森FC通信】それはボランティアであって仕事ではない

サッカー選手の仕事は、来たるべき試合に備えてコンディションを上げ、その試合にベストな状態で臨み、チームの勝利に貢献することである。そして、最も重要なことは、選手が、人々にチームを応援してもらえるようなプレーをして、多くの人の気持ちを魅了できるかどうかである。

「このチームを応援しよう」

「また試合を見に来よう」

こうした発言をする人がいたとすれば、それはリピーターになれる可能性を秘めた人々である。だが、JFLのラインメール青森FCは、人々に「試合を見に行こう」と思ってもらうことから始まる。いや、現実はもっと厳しくて、「青森にこのようなサッカーチームがある」ことを知ってもらうことが最初にあるのかもしれない。

JFLに加入するクラブは、選手がいいプレーをしてチームが勝っていたとしても、人々にチームを認知してもらえる機会は少ない。青森県のサッカー事情は、青森山田高校や光星学院高校などのサッカー強豪校があるけれども、それ以外の成人のサッカー領域は、未開拓の地だと言っていい。したがって、JFLのカテゴリーにラインメール青森というクラブがあることさえ知らない県民がいる。まだまだ認知されるには不足したチームである。そこで当然、広報活動が必要になる。その一部が、選手に課せられていて、今回のガソリンスタンドでのチラシ配りが、広報活動の一環になる。

例えば、Jリーグのクラブであっても、駅前でパンフレットを人々に配ることがある。しかし、1年に一度か二度あるかどうかだ。クラブの方針によるが、まあ、ほとんどないと言っていい。では、ラインメールに所属する選手たちの場合はどうか。週に2回か3回は広報活動を課せられる。チームの予算の関係で、選手たちはボランティアで広報活動を行うのである。

10月の中旬、私は、ラインメール青森の選手たちに帯同して彼らの広報活動を取材した。選手たちは、何軒かのガソリンスタンドに分かれて、来たるべき試合の案内が書かれたチラシをお客さんたちに配る。その日の15時から始まる広報活動は、奥山泰裕選手と小幡純平選手の組み合わせだった。奥山選手は時間よりも早めに現場に着く。奥山選手よりも先にチラシ配りをしていたのは、中筋誠選手と小松崎雄太選手のペアである。

15時前に、小幡選手が姿を見せて、中筋選手と小松崎選手とのペアに変わって、奥山選手と小幡選手のペアがチラシ配りを始める。彼らの姿を見ながら、私は、いろいろなことを考えた。奥山選手は、ジェフユナイテッド市原・千葉やガイナーレ鳥取でプレーしていた。小幡選手は、水戸ホーリーホックやFC琉球に所属していた。要するに、彼らは、元Jリーガーなのである。そんな彼らが、寒い中でガソリンスタンドにおいてチラシ配りをしている。しかも、チームに協力する形を取っての無給のボランティアなのである。

お客さんに次の試合の説明をしている奥山選手。

お客さんに丁寧にお辞儀をする小幡選手。

ラインメールの選手たちは、2人1組になって、いくつかのスポンサー企業でチラシ配りをする。1人でも多くの人に、チームを知ってもらいたい。彼らのこうした姿勢が、いつか大きく花開いて、Jの道のりに歩みを踏み出せる日がやってくることを、私は信じたいのである。

夕暮れ時のガソリンスタンド。

正面奥には、寒い中で待機する奥山選手と小幡選手の姿が見える。

川本梅花

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