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川本梅花 フットボールタクティクス

【時間の暴走】第16話:ラインメール青森、そして誰もいなくなってしまう

フットボールショートコラム【時間の暴走】第16話

勝ちすぎてもいけない。なぜなら、全体を支えるベースがまだできあがっていないから。
負けすぎてもいけない。なぜなら、全体を支えるベースを作ることさえできないから。

要するに、お金の問題なのである。お金に相当の余裕がある企業がチームをサポートすれば、取り敢えずは、監督も選手もただひたすら勝利を目指すことだけに集中できる環境を得られる。目の前に具体的な目標を設定して、その目標をクリアしていくことで、明日への希望が持てることになる。ただし、お金があるからといって、そのチームが魅力的で勝負に強いチームになるとは限らない。つまり、どんな好条件下にあったとしても、「絶対に勝てる」はこの世にはないのである。

僕が何の話をしようとしているのかと言えば、JFL(日本フットボールリーグ)に加入するラインメール青森FC(以下ラインメール)についてだ。2017年シーズンのラインメールの1シーズンの成績は、17勝3敗10分で年間総合順位が2位になっている。東北社会人1部リーグから出発した葛野昌宏監督が率いるラインメールは、全国地域リーグ決勝大会を制して、JFLへと一気に駆け上がった。そして、JFL2年目の第19回大会で組織力に優れたチームを作り上げたのである。

おそらく、「さあ、これからだ」と人々は思ったことだろう。「J3だって夢じゃない」「もっと強いチームになっていく」。そんな風に、誰もが思うはずだ。しかし、現実は、無情なもので、「そして誰もいなくなってしまう」ものなのである。「誰もいなくなってしまう」には、それなりの事情がある。細かい事情はあるのだが、本質的な事情は、「お金の問題」なのである。

詳細は、別な機会に譲るが、「誰もいなくなってしまう」ことについて、いったい誰を責めることができるのだろうか。いや、誰も責めることなどできない。

11月25日現在、河端和哉選手の引退に始まって、レギュラーの近石哲平選手、キャプテンの村瀬勇太選手、葛野昌宏監督の退団。ここまでスタッフと選手が10人チームを去ることになる。時間が経つと、もっと増えることが予想される。

ライセンスがあってJ3を目指すチーム、あるいは明確な将来のプランを持つチームは、ラインメールから選手を引き抜く。そうすれば、ライバルチームの戦力弱体が行われるからである。最も有効で簡単な対処法だ。おそらく、今季ラインメールから移籍した選手たちは、来季ライバルチームの主力になってピッチに立っている。しかし、移籍した選手を責めることはできない。そして、サポート企業も責められない。なぜならば、J3に昇格して新たなステージでもう1度プレーをしたいと願う選手たちと、徐々にランクを上げるための準備をしたいクラブとの考えの違いが、そこにはあるからだ。

誰も責めることができない。
国体で優勝したり、JFLで優勝争いをした今季は、サポーターにとって、もしかしたら、もう見ることができない、とても儚い夢物語だったのかもしれない。

川本梅花

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