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川本梅花 フットボールタクティクス

【無料公開】特集記事はメッシとロナウドの対比【おいしい活字】創刊500号の「ワールドサッカーダイジェスト」へ敬意を

【おいしい活字】創刊500号の「ワールドサッカーダイジェスト」へ敬意を

「ワールドサッカーダイジェスト」が、2018年2月1日発売号で創刊500号を迎えた。

創刊号が1994年10月11日に発売されているので、25年間の出版され続けていることになる。最初は、月1回の発売だったのが、現在では、毎月第1、第3木曜日発売の月2回刊行されている。

この雑誌の最大の特徴は、著名な外国人記者の記事を載せていることにある。翻訳や編集などの裏方作業を、日本人の編集者とサッカーライターが担当している。雑誌の最終ページのスタッフリストの中の協力者には、海外在住の日本人ライターの名前がうかがえる。

SNS優勢の現在のサッカーメディアの中で、外国人記者の記事を中心に、25年間継続して発売されていることに、敬意を払わない人はいないだろう。ネットで海外のサイトにアクセスできて、ネットの翻訳システムで日本語に変換させるとしても、そこまで費やす時間と専門用語の誤訳に悩まされるよりも、翻訳されている雑誌を読んだ方がベターだと考える人も少なくないだろう。

私がオススメするコーナーは、「各国記者が世界を斬る!! The Journalist」のスペイン担当であるヘスス・スアレスの記事だ。とにかく、彼の偏った物事の見方が面白い。特に、レアル・マドリーのジネディーヌ・ジダンへの言及には厳しいものがある。

2月1日発売号でのスアレス記者のコラムに以下が綴られている。

「ジダンはリアクションフットボールにどっぷりと浸かってしまった。それでも個の力に依存して昨シーズンまでは結果を残してきたが、チームとしての成熟はなく、むしろ擦り減った印象さえ受ける。
「ボールを奪うこと」と「奪ったボールをゴールにつなげること」。本来、この2つのプレーは連動すべきはずなのに、ジダンはここに線引きをし、マドリーのフットボールを小さくしてしまっている。「守備のための守備」に囚われた結果、「ピッチのどこに行こうとメッシに付いていけ」という、クラシコにおけるコバチッチへの馬鹿げた指示につながったのだ。」(p.79)

スアレス記者が語るクラシコとは、昨年末の12月23日に行われたレアル・マドリー対バルセロナの一戦である。首位を独走するバルセロナが、レアル・マドリーを3−0で粉砕した。スアレス記者が指摘するシーンは、メッシの動きに気を取られて、ボールを追いかけるかメッシに付くのか躊躇したコバチッチのプレーが、失点を招いたというものだ。

この場面で検証すべきは、なぜ、ジダンがコバチッチをクラシコにスタメン起用したのかと、コバチッチにどうしてこのような指示をしたのかである。

この試合に関しては、バルセロナ在住の堀江哲弘(@tetsuhorie )との試合検証を【決定的な1分間】で紹介することで、事象の真相を考えてみたい。

特集記事の目玉は、「カルチャトーレ解体新書」である。イタリア人のロベルト・ロッシ記者が、メッシとロナウドが「頂点」に君臨し続ける理由を記している。2人を比嘉検証するために、フィジカルやテクニカルなど6項目のポイントを設ける。そして、ロッシの視点でもって採点して行くのだが、合計490点の満点からの減点法になる。

2人は共にドリブルを得意とするプレーヤーであるが、そのドリブルのスタイルがまったく違っている。ロナウドが得意な形は、ボールを素早くまたぐ技のシザーズであり、この技法をメッシはやらない。ロナウドは、相手ディフェンダーの足を止めさせて、重心をズラせて抜いて行くやり方をする。ロナウドは、それほど足が速くないので、ディフェンダーと平行になってはボールを奪われてしまう。そこで、ディフェンダーのバランスを壊してから重心がかかっている方向とは逆の方に抜けて行く。

一方でメッシのドリブルは、よく見ると左足のアウトサイドで左方向に抜けて行く形を取る。
ドリブルのスタイルだけを見ても、2人は相当に違ったスタイルの選手なのだ。

こうしたことが、創刊500号の「ワールドサッカーダイジェスト」を読めば、よくわかっていくのである。

川本梅花

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