川本梅花 フットボールタクティクス

アーセナルに取りつかれた男の魂がここにある【フットボールシネマの逆襲】映画「ぼくのプレミア・ライフ」

アーセナルに取りつかれた男の魂がここにある【フットボールシネマの逆襲】映画「ぼくのプレミア・ライフ」

映画のプロット

生活の中心はアーセナル。寝ても覚めてもアーセナル。ホームでの試合がある日はどんな犠牲を払ってでも、ハイバリーに試合を見に行く。それがチームへの忠誠と信じて疑わない。アーセナルに懸ける思いをひたすら書き上げた、ニック・ホーンビィの鮮烈なデビュー作をもとに描かれた映画。アーセナルに取りつかれた男の自伝を映像化している。

「苦痛としての娯楽」に人生をささげる

サッカーのコアなサポーターについて考えてみた。

熱狂的なサポーターとは、「想像力を持ち過ぎる人」のことを指すのだろうか。特定のチームに対して想像力豊かに熱情をささげられる人。いや、そんな表現では甘い。自分の衣・食・住全てが、信仰すべきチームのスケジュールによって左右される人。まだ駄目だ。まだこれでは、表現に優しさが残っている。

いろいろと思案してた結果、「救いようがない大バカ者」とのフレーズはどうだろうか。これが、ぴったりとくる、据わりのいい表現だと納得した。

ニック・ホーンビィの著書『ぼくのプレミア・ライフ』は、アーセナルに人生全てをささげた救いようがない大バカ者が書いた、妄想狂的な叙事詩である。その本を脚本化して、映画にしたのがこの作品であり、人生のターニングポイントとなったサッカーと彼の人生に関する出来事が日記形式をもとで描かれる。

(残り 1499文字/全文: 2105文字)

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