川本梅花 フットボールタクティクス

【インタビュー】「問題が起きたことをそのままにしておくな」 #jfl 【会員限定】#葛野昌宏 に現状を聞いた #全緑

「問題が起きたことをそのままにしておくな」

第20回日本フットボールリーグのファーストステージが第2節まで終了した。ヴァンラーレ八戸(以下八戸)は、第1節の東京武蔵野シティFCに対して、前半35分に高見啓太選手のゴールで勝利する(1−0)。ホームの開幕戦となった第2節は、流経大ドラゴンズ龍ケ崎を迎えた。試合は、前半14分に井上翔太郎選手のゴールで試合を決める(1−0)。

八戸は、幸先のよい連勝によって、雪国のチームの難点であった開幕ダッシュに成功した。

3月25日に行われる第3節は、とても注目される戦いになる。なぜなら、対戦相手は、八戸と同じようにJ3昇格を目指す奈良クラブであるからだ。ともに開幕2連勝のチーである。

また、奈良クラブには、前ラインメール青森(以下青森)のプレーヤーが3人移籍した。彼らの名前は、村瀬勇太選手、近石哲平選手、横野純貴選手である。彼らは、開幕から2試合、スターティングメンバーで試合に出ている。

青森から八戸に移籍して来た選手も3人いる。秋吉泰佑選手、酒井大登選手、中村太一選手である。中村選手は、怪我で開幕戦にベンチ入りできなかったが、秋吉選手と酒井選手は、チームの中心選手として試合に絡んでいる。

奈良クラブの3選手も八戸の3選手も、葛野昌宏監督のもとで鍛錬された選手たちである。同時に、奈良クラブの3選手は葛野監督のやろうとするサッカーを熟知している点から、八戸にとって青森以上に手強い対戦相手と言える。

25日の奈良クラブの対戦を踏まえて、今現在の八戸は、チームとしてどのような仕上がりにあるのかを計るために、開幕戦で勝利した後に、チームの中心選手の山田賢二選手と秋吉選手、さらに葛野監督に話をうかがった。

ここまで、ゴールキーパーの山田賢二選手、秋吉泰佑選手を紹介してきた。
そして、今季から八戸を指揮する葛野昌宏監督に話を伺うことにする。

なお、3月25日の奈良クラブ戦は、1−3でヴァンラーレが敗れた。

今のままだと、JFLでは通用しない。

ーーんーん、なんて言うんでしょう、難しい試合でしたね。

葛野 難しい試合でしたね。前半は風下だったし、相手は勢いよく攻めてきた。ここは我慢かなと思ったですが、選手たちは、我慢できずにボールを前にどんどん蹴ってしまう。まずは、相手にプレッシャーをかけたかったんです。うちがプレッシャーをかけようとすれば、相手は縦にどんどん蹴ってくる。そうしたやり方をしていた。そんな中でうちが1点を取った。これで後半、相手もパワーが落ちてくると思ったんです。後半になれば、うちが風上でプレーできるから、相手の深いところに侵入して、敵陣内でわれわれがボールを動かすことができる、と考えていました。後半になったら、また風下になってしまったので、プランをまったく実行できなかった。

ーーこのチームで課題となるポジションはどこですか?

葛野 前線は、ラインメールよりもいい。ひとつ言えるのは、ワイドなんだろうな。ワイドのところで起点を作れないと。ただの蹴り合いになってしまうからね。ワイドにボールを入れて、そこからワン・ツーであったり、ドリブルであったり、を仕掛けていかないと。相手の4枚のうちSBを引っ張り混んだりしないと展開にならない。そうしたことをずっと落とし込みでやっていたんですが。なかなかね、今のままだと、JFLでは通用しない。

ーー監督としてはこの試合の出来栄えは?

葛野 開幕を迎えるまではね。練習試合では、結構やれていたんです。実際にJFLでやって見ると、肝心な点ができない。僕の中では、すごく危機感を持っていますよ。もうちょい変えていかないと。
守備は悪くない。ラインも高く上げようとしていた。ボールを保持する時間を作れるように、もっとやらないと。トレーニングではやれていたんですが、そこができなかったから、ショックです。ずっと、言っていたことだから。

ヴァンラーレから監督のオファをもらった時

ーーラインメール青森を辞任されて、ヴァンラーレ八戸から声がかかった時は、どんな感じでした?

葛野 まさかと思っていました。すぐに声をかけてくれださったんです。何よりも、「4年間見ていました」と言ってくれたことが嬉しかった。自分が4年間やってきたことが間違いじゃなかったと思えた。だから、八戸の昇格のために、なんとかしたい。

ーークズさんはS級ライセンスを持っていませんよね。それに対して、クラブは何か言ってきましたか?

葛野 「結果を出してから、話をしてください」と僕は言いました。僕は、八戸をなんとか、上げるために頑張りたいだけす。クラブは、気を使ってくれて、J昇格後の後のことも提案してくれましたが、「いいです」といったん断りました。話は、昇格してから、と。

ーー八戸では、どんなサッカーをやりたいですか?

葛野 もし僕がラインメールを今年も率いていたら、上乗せしてこうしようというプランがありました。ヴァンラーレに移っても、基本的なシステムはラインメールと同じです。もちろん、僕は対戦相手として4年間、ヴァンラーレのサッカーを見てきたので、すんなりと入れたことは大きかったです。だたそれが、まだまだなんだということが、この試合で証明されてしまった。

選手たちには、「常にコミュニケーションを取りなさい」と言っている。「問題が起きたことをそのままにしておくな」と。選手たちの中には、働きながらプレーしている選手もいるんだけど、プロの中でやって行くんだと言う意識を持ってほしい。

川本梅花

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