川本梅花 フットボールタクティクス

【インタビュー】#片野坂知宏 監督「浜崎くんのスライドが遅かったならば、そこを使えばいい」【会員限定】J2第35節 #大分トリニータ 戦後の監督会見

明治安田生命J2リーグ第35節が9月26日に行われ、水戸ホーリーホックはケーズデンキスタジアム水戸で大分トリニータと対戦。16時キックオフの試合は、1-2で水戸の黒星となった。大分を指揮する片野坂知宏監督の会見を伝える。

監督会見は、アウェイチームの監督から最初にスタートする。次に、ホームチームの監督が会見を行う。会見の手順として、まず監督が試合の総括を述べる。それを受けて、記者からの質問が与えられる。1人の記者が、1、2つの質問をして、次の記者にバトンタッチされる。時間にして平均5分の会見。長くて10分くらいのケースがある。

今回は、質問者も合わせて公表することにした。番記者の質問や地元の新聞記者の質問など、さまざまなポジションの者が質問をしていく。この会見をもとに、別のコラムで記者の質問と監督の返答についての解釈をしてみたい。

片野坂知宏監督の会見

片野坂監督 雨の中、トリニータのファン、サポーターの方は、我々に対して最後まで声援を送ってくれたことに感謝しております。そしてアウェイの水戸戦で、厳しい戦いになる、タフな戦いになる、という覚悟を持って我々も臨みました。

ゲームは、前半、水戸さんがどういう形で我々に対して攻守において狙ってくるのか。そういう変化をしっかりと自分たちが判断しながら、前半の入りは悪くなかったと思います。

まあセットプレーの崩れですけれど、先制点を奪えたこと。やはり、アウェイで自分たちが先に得点を奪うということは、勇気を持ってプレーできる活力になるな、と。ただ、水戸さんもギアを上げてくるだろうし、我々としては、(水戸ホーリーホックは)アグレッシブに戦ってくるチームですので、後半は若干、後手になったり、ピンチになったりしました。

前回の対戦の時も(ボールを)持たれることが多くて、危ない場面があったところをなんとか凌(しの)いで戦ってきた。今回は、勝ち点3を取れずに(勝ち点)0で終わっていたかしれない。そうした中で、決して勝ち点3を取れたから楽な試合だったとは思っていません。

そういうことは、自分たちも真摯(しんし)に受け止め、次の京都サンガF.C.戦、ホームでの試合も、しっかりと準備をしていいゲームができるようにしたい。今日のゲームの修正が少しでもできるように、全員で勝ち点3を取れるようにやっていきたいと思います。

ひぐらしひなつ記者(サッカー専門新聞「ELGOLAZO」)後半の途中で、相手のペースになった時に、トリプルボランチにすごく守備を支えられましたが、あそこでケアしたかったのはどこですか?

片野坂監督 見ていてお分かりになったと思うのですが、木村(祐志)くん、茂木(駿佑)くん、伊藤涼太郎くんは、バイタルエリアのところで、判断とか仕掛けとか思いっきりとか、そういうところで少し上回れていました。危険なシーンがあったので、サイドを削って中央を厚くしました。やはりビハインドの状況の中で、サイドバック(SB)を高くしてインサイドに入ってくる、圧力を持って入ってくる中で、1トップでやるよりも2トップにした方がカウンターのところで起点が作れるのかな、と考えました。ある程度ジエゴ選手や浜崎(拓磨)選手の両SBの脇のところは持たれることを覚悟した中で、危険なところを消す。そのためにああいう形でトライしていたのです。

川本梅花(フリーランス)ボールを持たれていた感覚なのか。あるいはボールを持たせていた、という感覚なのか?

片野坂監督 持たれているのは自分たちの前でもたれるのは怖くはないと思ういます。しかし、持ち方がゴール方向に持たれたり、危険な場所に侵入されたり、入っていかれたり、ゴールに向かう持たれ方は自分たちにとっていい状況ではないので、そこは対応しないといけないと思いました。

川本梅花 相手にボールは持たれても、最後は入れさせない、というような考えがあったんですね。

片野坂監督 危険なところに入れられたくなかったです。水戸さんは、バイタルのところも使ってくるので、背後のところも(ジェフェルソン)バイアーノ選手や途中から入ったバティスタ選手のところで起点を作られて、長いボールも使ってくる。そういう攻めのやり方をしていたので、ボランチの背中やディフェンスラインの背後のスペースには入れられたくない、というのはありました。

川本梅花 水戸の中盤の選手が前線にボールを入れようとした時に、ディフェンス陣の出足がすごく早くて、ボールをインターセプトしていたのですが、それは意図してやらせていたのですか?

片野坂監督 水戸さんのボールの持ち方。状況次第で、しっかりとボールに対していく。入ってきたところにはチャレンジ&カバーをしていく。ディフェンスラインや中盤の選手にも、超えたボールに対して、セカンドボールの球際の部分は要求をしてきました。

川本梅花 水戸が「4-4-2」で大分は3バックあるいは5バック。そして、ビルドアップの際は4バック。ゾーンで守る水戸は、ボールの逆サイドは捨てることになる。SBの浜崎選手はスライドが遅れるので、そこを狙っていたんですか?

片野坂監督 あえて浜崎くんのところを狙うということではなく、サイドばっかりだと対応されたら読まれる。中央を突くことによってサイドのスペースが空く。相手を変化させる。相手を引きつけて開けさせる。

攻撃の構築は、我々も3枚の相手、あるいは4枚の相手に対しても、選手に伝えてトレーニングから積み上げてきています。どういう形になったとしても、浜崎くんのスライドが遅かったならば、そこを使えばいい。ジエゴ選手が、ボールに対して行けない。松本怜がフリーになったら、そこを使わないといけない。

やっぱり、そういう判断を選手が状況によって使いわけをしてくれている。そうしたところで、うまく相手を上回る状況は作れたと思います。

そこからのところでラストパス、クロスの質、そういうところは、我々はJ2の中でもたくさん点数を取れているチームではあるんですが、そこはこだわりたいです。

プレッシャーの掛かる試合、1点勝負の試合、拮抗した試合の中では、前線の選手、フィニッシュのところはこだわらせて、トレーニングから積み上げていくことが大事かなと思います。

川本梅花

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