川本梅花 フットボールタクティクス

【試合分析】 #小島幹敏 がチームを動かしている!【無料記事】J2第40節 #ヴァンフォーレ甲府 戦

明治安田生命J2リーグ第40節、水戸ホーリーホック対ヴァンフォーレ甲府が11月4日に行われた。2-0の完勝。水戸はこの勝利で3連勝となりました。

水戸は、3バックのチームを苦手としています。これは、僕の見解です。もし長谷部茂利監督に尋ねたら「そんなことはありません」と答えるでしょう。ただ、大分トリニータや東京ヴェルディ、さらには松本山雅FCとの戦いを見れば、僕の見解がそんなに間違っていないのは分かってもらえると思います。

では、3バックへの対処が難しい理由を述べます。

なぜ、3バックの相手に水戸が難しい戦いを強いられるのか。簡単に言えば「水戸が2トップだから」となります。あくまでも数字上ですが、相手DFが3人に対し、水戸は2人でプレスを掛ける必要があります。もう一つの理由として、相手のサイドの選手が高い位置を取ろうとすることにあります。この選手へのケアの問題が挙げられます。

相手が3トップの場合ならばウイング(WG)が、2トップならばウイングバック(WB)が高い位置を取ります。そうなると水戸は、センターハーフ(CH)あるいはボランチが、自分の斜め後ろの選手を気にしなければならない。味方のサイドハーフ(SH)やサイドバック(SB)の選手に任せるのか、それともCHの選手が自分でケアをするのか。とても難しい選択になります。

具体的に言えば、相手のWGやWBが右サイドの選手ならば、水戸は左SHの木村祐志選手と左SBのジエゴ選手が対峙することになります。そこに左CHの小島幹敏選手が、どのようにサポートするのか。これが重要となります。

もし、小島選手が自分のポジションを離れてケアをすれば、中央のスペースは前寛之選手のみとなり、中央にスペースができてしまいます。その空白ゾーンをなくすために、右サイドにいる選手はボールサイドにスライドしてスペースを狭めて対処します。

そうすると、水戸の右サイドにいた選手が移動するので、今度はそこにスペースができてしまう。水戸は「4-4-2」のゾーンで守っているため、「ボールとの逆サイドは捨てる」という原則があります。要するに「自分のスペースを空けてもいいから、ボールと逆サイドにいる選手は、ボールサイドにスライドしていいよ」という了解事項です。

相手は当然、ボールと逆サイドのスペースが空くので、左サイドにボールがあったら右サイドに大きくボールを移動しようとする。実際、甲府の上野展裕監督はハーフタイムに、そのような指示を出していました。

「チャンスの時はワイドな展開をしよう」

甲府が右サイドでボールを所持すると、水戸は木村選手とジエゴ選手がケアします。さらに小島選手も絡んできます。その時に水戸の全体の選手はボールがある左サイドにスライドしてきますから、ボールのない右サイドにスペースができます。そこを踏まえて上野監督は「ワイドな展開をしよう」と言っているのです。実際に、水戸の左サイドから右サイドに大きなボールが何度か蹴られていました。

ボールが左から右に振られた場合、水戸は一気に逆へスライドする必要がある。長谷部監督も、ハーフタイムに次のような指示をしています。

「スライドをしっかりして守備をしよう」

これが正しくできている時の水戸は、負けないんですよね。得点を奪われない試合の際は、ボールサイドからボールがない逆サイドへのスライドがきちんと素早くできているのかに注目すればよいのです。

さて甲府戦では、小島選手がMOM(man of the match、その試合で最も活躍した選手)でした。

今季の水戸は、センターバック(CB)の伊藤槙人選手とSBの田向泰輝選手、そして小島選手の成長によって支えられていると言っても過言ではありません。試合経験を重ねるたびに、プレーの質を上げています。

さて、そんな小島選手に試合が終わってからロングインタビューをしました。

「来季はどうするの?」という問いから、僕の質問は始まっています。

試合だけではなく、彼が今ある生活環境や思考がうかがえるインタビューになっています。お楽しみにしてください。

川本梅花

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