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川本梅花 フットボールタクティクス

【インタビュー】 #栗澤僚一(#柏レイソル)「何をやっていいのか分からない、という状況にあった」【無料記事】引退を決心するまでの1年間

【インタビュー】栗澤僚一「何をやっていいのか分からない、という状況にあった」

柏レイソルの栗澤僚一選手が現役を引退する。12月1日、明治安田生命J1リーグ第34節・ガンバ大阪戦後に引退セレモニーが行われた。今回のインタビューは、引退セレモニー後に語ってもらったものである。

(判断基準の)物差しがなかったことが、落ちた原因でもある

――いま持っているJFA公認指導者ライセンスは?

栗澤 今年でB級が取れますね。

――もちろんこれから指導者になることは考えているんだよね?

栗澤 なりたいですね。

――まだ現役を続けられたんじゃないの?

栗澤 そうですね。いろいろ考えたんですけど。やりたい気持ちはあったんです。ただ今シーズンは特に、指導者としての自分を想定して試合を見ていたところがありました。あと1年、現役を続けてやるのか。それともこのタイミングで、指導者を目指して力を向けていくのか。そこは意外と、正直に言えば、指導者になるという思いは、ずっと考えていた部分でもあった。

まあ、こういう苦しい時になったからこそ、そういう(引退して指導者を目指すという)気持ちにさせられたというのは、あるかもしれないですね。僕は、年齢的に引退に近づいていて、次のステージにいつ行くのかというタイミングがいまだった。そういう気持ちが、いつの間にか……決心に変わっていった。

――何度も聞かれたかもしれないけど、引退することを決めたキッカケは何だったの?

栗澤 この選手たちにもっと不安なくプレーさせるには(どうすればいいのか)とか。12年半もプレーさせてもらったレイソルが、こういう(降格)状況になって、立場的に難しい部分があるんです。

――それは選手としての発言の難しさという意味なの。

栗澤 選手のままだと、こうやった方がいいとか、立場上、選手に言える限界があります。僕も選手であるという限界です。選手じゃなかったら違うことも言えたんじゃないのか、とか。そう思った瞬間に、すぐに(環境や状態を)変えたいのが自分なので。

――「こういう状況になって」と言ったのは、降格した理由としてチームのバランスに問題があったということ?

栗澤 選手は「何をやっていいのか分からない」という状況にありました。それは今季初めの頃からあったことです。「これも正解」「あれも正解」「そこは失敗したから次はちゃんとやろうよ」だと、何をやったら正解なのか、何をしたいからそういうプレーをやっているのかが、曖昧になって迷いが生まれる。その(判断基準の)物差しがなかったことが、落ちた原因でもあると思います。

――去年、シモさん(下平隆宏前監督)で、まとまった結果が出て、「じゃあ今季は」となったら、なかなか結果がついてこなかった。

栗澤 いやー、去年も最後は、勝っていれば4位以内は行けたんですよ。自分たちで最後連敗して落とした試合があった。そういう甘さは、実は練習の中からありました。練習で、本当に試合と同じような、試合に望めるような緊張感を持ってやれていたのか、と言えば、正直、そうではありませんでした。そこには疑問が残るような練習もありました。それは選手が感じている部分なので。

――監督は、自分が問題視していることを練習メニューに入れるわけだよね。与えられた練習が、目指すものと噛み合わないメニューならば実りも少ない。いち選手が監督の決めたメニューに「それは違う」と言えるわけがないし。

栗澤 周りの人は「4位でプレーオフに行けたじゃない」と思われる方もいると思うんですが、選手の中では「もっと上に行けたよね」という思いがあるんですよ。それはおそらく、みんな思っていることだから。

――それで、うまく行かなくて、加藤(望)さんに監督が代わった。

栗澤 うちの選手は真面目ですから、言われたことをやろうとする。うまく行かなくなった時でも、いち選手としてチームの方針に合わせないとならない。選手は、こう思っているけど、チームとしてやりたいことは「これだ」となる。でも、選手のやりたいことと、チームが求めることを擦り合わせていくことが必要となる。それにはパワーが必要で、そのためのパワーがなかなか向けられない。そういうのは本当に、ちょっとどうなのかなと、なっていったんです。

(降格したのは)監督だけの問題じゃないです。例えば、選手が変えるために本気で討論ができていたのか、とか。もっと練習からでも変えるものがあったのではないか。そういうのは言っていたら、キリがないです。迷いとか。この選手が、本当になんでいいプレーができないのか、とか。(判断基準がなかったことが)迷いの原因でもあったので。自分が指導者をやっていれば、もっとこういう指示を出して、こういう練習を取り入れて、という思いが、わっと出てきて。ただ、選手は、みんなそうしたことは考えているんです。

――1回外に出てから、例えば解説者をやってから指導者の道へとか考えているの?

栗澤 いや、もう、レイソルにいられるんだったら。トップチームが、J1に上がるための何かしらの力になりたい。

――ユースから指導者を始めるという考えはある?

栗澤「教える」「伝える」というのは、どのカテゴリーでも大事なことです。ユースだからとか、トップだからとか、関係なくて、どのカテゴリーでもかまいません。ユースであっても、アカデミーもそうですが、トップチームで戦える選手を育てていくことが大切になる。レイソルのためにやってくれる選手を育てる。トップチームに関しては、今年学んだことですが、「一体感」の大切さとか。「やりたいことへの理解度」を深めるとか。「向かっていく気持ち」とか。自分がコーチになれれば、選手との間を取れるわけだから、上の人と連結する立場になれると思います。

「レイソルのために」という気持ちを大切にしてほしかった

――引退しようと決めたというのは、自分の中でいち選手として選手に伝えるやり方としては限界がある、ということと関係があるの。

栗澤 ありますね。そういうチームであることを、僕は望んでいないです。関係性があって、日本人は特に、上と下を分けようとするわけです。役職の中でもそうした考え方はあって。やっぱり選手というのは、そうなってくると動かないですよ。

――んーん、なるほど。ところで、引退を告げたのは、家族が最初だったの?

栗澤 布部(陽功)さんかな。

――あっ、戻ってきたんだよね。ゼネラルマネージャーか。

栗澤 次に、家族ですね。

――大谷(秀和)くんには、いつ伝えたの?

栗澤 タニには最近ですね。

――えっ、そうなの?

栗澤 こういう状況で言うのが嫌だったんですよ。みんな勝とうとしているこの時期に、僕が(引退すると)いうことで、「栗澤のために」と思うんじゃなくて、「レイソルのために」という気持ちを、大切にしてほしかった。一昨日(11月29日)くらいですかね、監督の耳に入ったのも。

――え? 監督にも一昨日に伝えたの?

栗澤 そうなんですよ。いやもう「ごめん」と言われたんですが。俺もそういうのが嫌だったので。もう(岩瀬)健さんは本当にいい監督だから。引退を知ったら、最後の試合にベンチ入りとかされたら「この試合は勝つつもりで臨んだんじゃないの」となってしまう。でも、(自分をベンチ入りさせなかったことで)しっかり見ているんだな、と思いました。

来年、また一緒に戦ってほしいと思います

――以前、J2で戦った時に、ちょうど(田中)順也がいた時かな。J2で戦うというスタイルとかを、考えて戦っていたの?

栗澤 まず、自分たちのサッカーで勝っていく。1つひとつを積み重ねていく。そう考えていました。

――いままでの監督で印象深い人は誰?

栗澤 ネルシーニョですね。監督は人間性ですよ。その人に心が動かされるとか。ネルシーニョは、モチベーターだから。「そこで勝敗を分けるんだぞ」「どうして逃げるんだ」とか言って選手を鼓舞していました。健さんも似ているんですよ。

――指導者という話は、具体的に会社からはないの?

栗澤 まだ具体的にはないです。残って指導者としてチームに貢献したいです。

――最後に、みなさんにメッセージを。

栗澤 2009年にJ2に降格して、その時、ファンやサポーターのみなさんと、選手やフロントが一体になって「もう一度やってやるぞ」という気持ちになった。ネルシーニョが監督としてやってきて「なにくそ」という気持ちでやってきた。1年でJ1に戻るために、やるべきことをやってきた。そういう気持ちをもう一度呼び起こしたい。来年、また一緒に戦ってほしいと思います。

――長い間、ご苦労さま。ありがとう。

川本梅花

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