川本梅花 フットボールタクティクス

【コラム】“課金の壁”を超えてもらうには【無料記事】ライターと読者、意識の違い

課金というシステムの壁を破るには

先日の打ち合わせの中で「課金の壁」という話が出た。情報のために、お金を払ってもらうことの難しさがテーマとなった。それでも、特定のクラブを取材対象にしているライターのサイトならば、そのクラブや選手の情報を得るため、読者は課金の壁を超える。そうでなければ「タグマ!」はビジネスとして成り立たない。

水戸ホーリーホックの情報を知りたいという人は、佐藤拓也くんの「デイリーホーリーホック」の会員になれば、さまざまな選手がアツマーレ(水戸の練習場)で発する声を聞ける。また、川崎フロンターレの情報を知りたければ江藤高志くんの「川崎フットボールアディクト」の会員になればいい。

佐藤くんも江藤くんも友達だから、例に挙げさせてもらったのだけど、要するに、特定クラブのサイトは、そのクラブに特化しているので、会員になりやすい。しかし「川本梅花フットボールタクティクス」の会員になりたいと思う人は、別の意味で限定されてしまう。なぜならば、サイトのライターである僕が、自分の興味の枠内でしか活動していないからだ。

それはこうした、ある人のツイートの中にも現れている。

実は、このツイートを読んで、ハッとさせられた。

【無料記事】で流していたコラムは、何の意味もなかったんだ、ということだ。

それはそうだ。僕の中では、【無料記事】と【有料記事】では、相当に違いを持って書いていた。原稿に費やす時間もそうだし、取材時間に掛ける手間もそうだ。インタビュー記事ならば、選手に取材して、言葉を文字に起こして、文章を書いていく。しかし【無料記事】のコラムは、自分が思い立ったことを書くようにしていた。なぜなら、僕の中で【無料記事】だからという気持ちがあったからだ。

情報にしても【有料記事】では深掘りした内容を書くようにした。例えば、水戸ならば西村卓朗強化部長から直接聞いた話を書くことができる。しかし【無料記事】の中では、表面的な話しか書かない。僕の中で、そうした差別化を図っていた。しかし、上記のような感想を持たれるのならば、極端な話【無料記事】をほとんど“なし”にしていいと思う。それは、このサイドの渡辺文重編集長にも以前、言われていたことだったのだけれども。

ラインメール青森の記事がずっと【無料記事】だったのは、ほとんど全国的には知られていない青森のJFLに所属するクラブを知ってほしいという考えがあったからだ。渡辺編集長は「青森のクラブを知ってほしいということなら無料記事でも良いと思いますが、有料記事でも問題ないんじゃないですか」と話していた。

話題にした方のツイートの「無料のところとツイートしか読んでないけど全く魅力がないと感じる」ということに関して、先にも話したけれども、僕の中で「無料」だからとか「ツイート」だからとか、そうした前提があったことは確かだ。サッカーに限らずライターという職業は、言葉を扱う職業なのだから、受け手である読み手は、それが「無料記事」であろうが「有料記事」であろうが、1つの「記事」としてしか捉えないので、僕が差別化をして書いていようがいまいが関係のないことだ。

それから、誤字があったというツイートをもらった。

これも、原稿を書いた後に、「文章校正」のチェックをしないでアップしてしまった。

アップしてから確認してくれた編集長も、まさか間違うはずのない文字だと思って見過ごした。

結局【無料記事】だからというか、僕の中での「詰めが甘い」ということなのだ。

また「魅力がないというか欲しい情報が皆無」というツイートに関しては、特化していない、話題が個人的すぎるということなのだろう。そこは僕も思案しているところだった。もっと何かに特化するべきか。個人的な趣味趣向から離れるべきなのか。つまり、一般化していくべきなのかどうか、という問題である。

タグマ!の担当者と渡辺編集長との打ち合わせのテーマは、ほぼそのことだった。どうやったら会員を増やすことができるのか。そのためには、何が必要なのか。どうすれば良いのか。

そんな打ち合わせの翌日のツイートだったから、ハッとさせられたのだった。

まあ逆に、この方のツイートを読んで僕自身吹っ切れた。

本来的に、価値の低いものを書くのはやめた、ということだ。

#川本梅花

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