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【試合分析】#ダビドビジャ 動きの質の高さでゴールを決める【無料記事】J1第5節 #ガンバ大阪 3-4 #ヴィッセル神戸 #GAMBAOSAKA #visselkobe

ダビド ビジャ、動きの質の高さでゴールを決める

本文目次
ビジャのポジショニングでゴールが決まる
タイトなマークから逃れる質の高さで勝負

2019明治安田生命J1リーグ第5節
ガンバ大阪 3-4 ヴィッセル神戸
https://www.jleague.jp/match/j1/2019/033005/live/

3月30日の土曜日、明治安田生命J1リーグ第5節、ガンバ大阪対ヴィッセル神戸戦が行われた。

ホームのG大阪は、昨年から宮本恒靖監督が指揮を執る。神戸はフアン マヌエル リージョ監督が務める。G大阪のフォーメーションは「4-2-3-1」。一方の神戸は「4-3-3」の中盤が逆三角形で臨む。両チームのシステムを組み合わせた図は、以下の通りとなる。

ビジャのポジショニングでゴールが決まる

神戸が手を打つ。右サイドのルーカス ポドルスキと左サイドの古橋亨梧がポジションを変える。この変更によって、ポドルスキは縦への突破を試みるようになる。54分のダビド ビジャの同点弾は、左サイド深く切り裂いたポドルスキのパスから生まれた。

アンドレス イニエスタが裏のスペースにボールを送る。ボールにタッチしてドリブルでエンドライン深く走り込むポドルスキ。DFとの1対1の勝負に勝って、ゴール前にクロスを上げる。ボールの着地点にビジャが待ち構えていて同点となるヘディングを決めた。

この場面のポイントとなるのは、ビジャのポジショニングだ。

このシーンのポイント

ビジャが見せた「動きの質」の高さ。

ポドルスキが縦に突破してクロスを上げる前の、ビジャのポジションに注目してほしい。

ビジャは、G大阪の2人のセンターバック(CB)菅沼駿哉と金英權の間に立っている。金英權からすればビジャを自分の視界にとどめておくポジションにある。次に、ポドルスキがエンドライン深く侵入してクロスを上げる瞬間にビジャがどこにいたのかで、DFとFWの勝負は決着していた。

ビジャは、意図的に菅沼と金英權の間にポジションを置いていた。そのため金英權に「自分をつかんでいるのでクロスが上がってもケアできる」と思わせた。金英權の前に立つことで、金英權はビジャの動きを視界にとどめられる。ポドルスキがG大阪DFとの1対1を制してクロスを上げると判断できた瞬間、つまりポドルスキからクロスが上がる少し前に、金英權の視界から消えて右にスッと移動しゴール前にポジショニングしている。まさに選手の動きの質で得たゴールだ。

動きの質は、理性的な判断に依存する。クレバーな選手とは、ビジャのような動きのできる選手を指す言葉なのだ。

タイトなマークから逃れる質の高さで勝負

FWの働き方は近年、大きく変わってきている。2トップを組ませるシステムの場合、ポストプレーとフィニッシュワークを分業できる。しかし、1トップのシステムの場合、ボールもキープできてゴールを決めるという2つの役割をこなす必要がある。さらにビルドアップにもFWのポジショニングが要求される。FWの仕事は増える続けている。

守備に関しても、ファーストディフェンダーの役割をFWが担う。相手CBにプレッシャーを掛け、ビルドアップの有効性を阻止、相手の攻撃を制限することも求められている。ゾーンディフェンスによるプレッシングが導入された1980年代から、FWが守備に貢献する流れは止まらない。

ビジャの場合はどうか。ビジャは、2トップで起用された方が能力を発揮できるFWの代表格だ。この試合の得点シーンは、タイトなマークから逃れる、質の高さで勝負してきたビジャの真骨頂と言える。

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