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【試合分析】#黒川淳史 の先制点…町田ディフェンスラインの隙とは?【無料記事】J2第12節 #FC町田ゼルビア 0○2 #水戸ホーリーホック #mitohollyhock #zelvia

黒川淳史の先制点。町田はどのタイミングでラインを上げるべきだったか

2019明治安田生命J2リーグ第12節
FC町田ゼルビア 0○2 水戸ホーリーホック
http://www.mito-hollyhock.net/games/13656/

5月5日の日曜日、明治安田生命J2リーグ第12節、FC町田ゼルビア対水戸ホーリーホックが町田市立陸上競技場で行われた。

ホームの町田は、相馬直樹監督が指揮を執る。Jリーグにおける両チームの通算対戦成績は、2勝5分け2敗の五分。ただし、町田のホーム“天空の城”における成績は1勝3分けで、水戸に白星はない。

長谷部茂利監督率いる水戸は、J2第11節終了時点で、6勝5分けで首位。J2で唯一の無敗チームとなっている。両チームともシステムは「4-4-2」で、中盤をボックス型にしている。両チームのシステムを組み合わせた図は、以下の通りだ。

黒川淳史の得点は、町田の隙から生まれた

同じシステムでかみ合った場合、攻める側は、どこかでズレを作らねばならない。町田が取った策は、水戸DFの背後にロングボールを送り、そこにスピードのある2人のFW、富樫敬真とジョン チュングンを走らせることだった。その目的は、水戸のディフェンスラインを下げさせることでDFとMFの距離を広げ、スペースを作り出すことだ。「中盤を制する者がゲームを制する」。その言葉を実践するため、町田は何度も水戸ディフェンスラインの背後にボールを蹴り込む。

こうした町田の策に対し、水戸DFは無理に繋(つな)ごうとせず、「ボール アウト オブ プレー」で仕切り直す。そして町田DFがボールを持つと、前線の選手が積極的にプレスを仕掛ける。町田がボールを下げたら、水戸はディフェンスラインを上げるなど、チーム全体でこまめに上下の動きを行う。

得点のポイント

ディフェンスラインを上げられなかった町田DFの油断

基本動作をよどみなく行っていた水戸に対し、町田は一瞬の隙を突かれ、ディフェンスラインを上げ損なう。63分、FW黒川淳史のゴールで水戸が先制したシーンだ。

この場面は、以下の状況から始まる。

MF茂木駿佑にパスが渡る直前まで、MF木村祐志、FW清水慎太郎、黒川は、町田のディフェンスラインよりも前にいる。つまり、オフサイドのポジションにいないことを意味する。町田の油断は、ボールが下げられた「パス1」が出された時、DFがラインを上げなかったことにある。「パス2」が通る前に、町田がディフェンスラインを上げていれば、水戸の3選手はオフサイドとなっていた。

しかし、実際には町田のディフェンスラインは上げられず、結果、茂木がボールを蹴った後に、水戸の3選手がディフェンスラインを突破。町田DFは、完全に後追い状態となる。そして黒川の柔らかい足さばきから、ゴールが生まれた。

これまで勝利のなかった町田とのアウェイゲームで勝ち点3を獲得した水戸。これで開幕から12試合負けなしとなった。“負けなし”は失点が少ないチームの特長で、実際、水戸の総失点数は4でリーグ最少となっている。水戸の失点が少ない理由は、選手全員が組織的な動きを忠実にこなしていることにある。

町田はディフェンスラインの裏を狙うことで、水戸の守備を破ろうとしたが、結果的に、町田の方がディフェンスラインの裏を突かれて失点する結果となった。水戸の守備を破るのは、どのチームとなるのか、水戸は次節、総得点数18でリーグ最多タイのFC琉球と対戦する。

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