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【試合分析】#原一樹 にフリーでシュートを打たれた原因は?【無料記事】J3第8節 #ロアッソ熊本 1●0 #ヴァンラーレ八戸(@vanraure)

ヴァンラーレ八戸が見せた「詰めの甘さ」とは?

2019明治安田生命J3リーグ第8節
ロアッソ熊本 1●0 ヴァンラーレ八戸
https://www.jleague.jp/match/j3/2019/050514/live/

5月5日の日曜日、明治安田生命J3リーグ第8節、ロアッソ熊本対ヴァンラーレ八戸が、えがお健康スタジアムで行われた。3連勝を狙うホームの熊本は、渋谷洋樹監督が指揮を執る。大石篤人監督が率いる八戸は、3試合勝ちなしで2連敗中。システムは、熊本が「4-4-2」のボックス型を採用、八戸は「3-4-2-1」を選択した。両チームのシステムを組み合わせた図は、以下の通りだ。

クロス、シュート、ともにフリーだった原因

八戸は辛抱強く、熊本の攻撃に耐えていた。しかし75分、均衡が破られる。中盤でボールを奪った熊本は、右サイドに展開。フリーランニングする右サイドハーフ(SH)田村翔太がボールに触れる。田村はペナルティエリア内を確認すると、ゴールエリアにクロス。70分に交代出場したばかりのFW原一樹がピンポイントで合わせ、ヘディングシュートを決める。これが決勝点となり、熊本が1-0で逃げ切る試合となった。

失点には必ず原因がある。八戸の失点は、2つの原因によってもたらされた。

失点のポイント

(1)熊本MF田村翔太に、フリーでクロスを上げさせた。

(2)熊本FW原一樹をケアできなかった。

以下の図を見てもらいたい。

まずは(1)について。SH田村にボールが渡った時、ウイングバック(WB)宮崎泰右のポジションは、田村から4メートル以上離れていた。宮崎は追いかけるも、田村がクロスを上げる瞬間でも約2メートルまでしか詰められなかった。“フリー”の田村は、ピンポイントのクロスを確実に上げる。

WBにとって、攻撃時と守備時における上下運動は、重要な仕事だ。守備時に素早く帰陣することが求められ、少なくとも、あれだけ余裕を持ってクロスを上げられることは避けねばならなかった。

(2)に関しては、熊本MF岡本知剛が八戸DF近石哲平の前に飛び込んだことで、熊本FW原一樹がフリーになったことが原因に挙げられる。

田村がクロスを上げる前、近石は背後にいる原を見て、ポジションを確認する。結果、近石は飛び込んできた岡本のケアを選択。原に対しては、DF穂積諒がケアするだろう、また岡本が飛び込んでこなかったら、背後から体を当てて防ぐという判断したと予想される。しかし、実際には岡本が飛び込んできたため、近石が岡本をケアするも、穂積は自身のポジションから離れず。結果、原はフリーとなり、ゴールを決める。

このシーン、熊本側から見ると、岡本の飛び込みは“フェイク”だったと考えられる。フェイクとは、岡本にボールへ合わせる意思はなく、最初から近石の注意を引き付けることが目的だったという意味だ。原がフリーでシュートを打つため、コーディネートされた攻撃を見せた熊本に対し、八戸はあまりにも無防備だった。それまでの時間帯、懸命な守備を見せていただけに「詰めの甘さ」がもたらした失点だったとも言える。

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