川本梅花 フットボールタクティクス

【コラム】好調な選手・チームは特集される【無料記事】「サッカーダイジェスト」(2019年5月23日号)

「サッカーダイジェスト」(2019年5月23日号)

今回取り上げる「おいしい活字」は「サッカーダイジェスト」(2019年5月23日号)です。週刊だった雑誌が、現在は第2と第4木曜日の月2回発刊になりました。SNSの速攻性がある情報に比べ、タイムリーな情報では遅れてしまう雑誌の中で、サッカー系の雑誌は特に斜陽化が叫ばれてきました。そうした状況で、なんとか踏ん張っている印象があるのが、これから話題にする「サッカーダイジェスト」です。

雑誌の構成として、大きく2つに分けられます。「J1&J2全1250選手の通信簿」という企画と「ディエゴ オリベイラ」などの選手インタビューです。その中に、いま注目されているFW藤本憲明のインタビュー(p.26-29)があります。

藤本は、青森山田高校を卒業してから近畿大学蹴球部に進みます。そしてJFL(日本フットボールリーグ)の佐川印刷SCに所属しますが、2015年にクラブが活動休止になることで、当時J3の鹿児島ユナイテッドFCに移籍。2年連続でJ3得点王を獲得し、2018年にJ2だった大分トリニータに加入。今季、大分がJ1に昇格したことから JFLからJ1に上り詰めた選手としても話題になっています。

インタビューの中で記者に「サッカー人生の中でのターニングポイントは?」と聞かれた藤本は次のように話します。

2015年に佐川印刷が活動休止になった時です。企業チームでJ3を目指すチームではなかったので、その話を聞いた時は申し訳ないんですが、逆にチャンスだと思いました。Jリーグを目指しているチームにとって(選手を)取りやすくなるはずですし、オファーがもらえるのではないかと。

日本代表入りの噂がある藤本に対して記者が問いかけると、彼は「意識していない」と答える。それに対して「欲がない」と返す記者に、藤本はこう話します。

欲があればJ1まで、こんなに遠回りはしていないです。でも苦労したとは思ってなく、長かったとも思っていません。まあ今後はJ1で長くプレーしたい。それだけです。

また、インタビューものでは、水戸ホーリーホックの細川淳矢(p.60-62)と黒川淳史(P.64-66)が取り上げられています。

細川は、今季怪我で出遅れましたが、復帰してからレギュラーポジションを奪って、安定したプレーの中で、殺気だった凄みも感じられるようになりました。今季の黒川は、大宮からのレンタルを延長してプレーしています。長谷部茂利監督からの強い要望を受けた西村卓朗強化部長が何度も説得し、レンタル契約延長をした選手です。2人ともきちんと受け答えをしてくれる選手です。インタビューの中で、2人が強調するものは「一体感」という言葉です。それが今季好調な水戸を作っていると話します。

実は昨年好調だった時に、水戸は雑誌「サッカーキング」に特集されました。好調なチームに関する特集は、どの雑誌でも行われます。しかし、昨年は「サッカーキング」で取り上げられた後、連敗を喫してしまいました。そうした流れの中で、沖縄に向かった水戸はFC琉球と対戦。僕は不安を覚えました。そして結果は0-1の敗北。“切り替え”は大切なことなので、水戸サポーターは今号の雑誌記事を読み、切り替えたいですね。

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