川本梅花 フットボールタクティクス

【試合分析】有効だった #國分将 と #宮崎泰右 のポジショニング【無料記事】J3第10節 #ヴァンラーレ八戸 3○0 #セレッソ大阪U-23 (@vanraure)

両ウイングバックのポジショニングがポイントに

目次
J3第9節までの状況整理
中盤は3対4で不利に見えるが……
試合のポイントは両ウイングバックの活躍

2019明治安田生命J3リーグ第10節
セレッソ大阪U-23 0○3 ヴァンラーレ八戸
https://www.jleague.jp/match/j3/2019/053001/live

5月30日の木曜日、明治安田生命J3リーグ第10節、セレッソ大阪U-23対ヴァンラーレ八戸がヤンマースタジアム長居で行われた。

J3第9節までの状況整理

ホームのC大23は、大熊裕司監督が指揮を執る。「4-4-2」のフォーメーションで、中盤にボックス型を採用。J3第9節終了時点で3位に位置する。総得点数は16でリーグトップ。その一方で総失点数は11(J3第9節終了時点)でリーグワースト6位タイと、守備に甘い面を持っている。

大石篤人監督が率いる八戸は、5月19日(日)に行われたJ3第9節・アスルクラロ沼津戦で0-1と敗れ、リーグ戦4連敗を喫している。しかし試合内容を見れば、攻撃の「流れ」は作れていた。失点を喫した8分の場面も、偶然の産物だったと言える。沼津MF尾崎瑛一郎のシュートがずれ、ゴール前に走り込んだMF佐藤尚輝のポジションまでボールが流れたようだ。

尾崎をフリーでペナルティエリアに進入させたのはマズかったが、失点後は守備も改善されている。後半になって、シュートがゴールポストに当たって跳ね返されるなど、得点チャンスを何度か作っていた。浮上するキッカケさえつかめれば……という、下を向く必要のない敗戦だ。

中盤は3対4で不利に見えるが……

両チームのシステムを組み合わせた図は、以下の通りだ。

C大23は「4-4-2」のボックス型を採用。中盤とディフェンスラインをそれぞれ4枚にした2ラインとなっている。一方の八戸は「3-5-2」。両ウイングバックが下がり気味で、中盤に三田尚希・新井山祥智・中村太一の3人を横に並べる。

八戸のFWは2枚。システムの組みわせを考えれば、4枚のDFに対して1枚のFWでプレスに行くよりも、2枚のFWがプレスに行った方が、追い込み方も体力面も余裕が持てる。

一方で、八戸は3人の中盤で、C大23の中盤4人を対処する必要がある。数字的には「3対4」で不利だ。しかし八戸の両ウイングバック(WB)が上がってくれば、C大23の両サイドハーフ(SH)を抑え込める。八戸は「3-5-2」としたが、さらに細かく記せば「3-2-3-2」となる。相手のシステムによっては、今後も有効な並び方となるだろう。

試合のポイントは両ウイングバックの活躍

C大23戦では、八戸DFから前線への「縦パス」が通る場面が、しばしば見られた。そこに試合のポイントがある。

試合のポイント

ヴァンラーレ八戸の右WB國分将と左WB宮崎泰右は、タッチラインに張ってプレーした。両WBのポジショニングにより、セレッソ大阪U-23の中盤の選手がポジションを離れてスライド。サイドにズレれた結果、C大23の中央が薄くなった

おそらくチーム戦術として、WBがタッチラインに張るように指示があったのだろう。なぜなら、このやり方が試合を通して徹底されていたからだ。C大23戦では、開幕戦から沼津戦までの9試合中7試合で先発を務めた小牧成亘が、ベンチスタートとなった。小牧は、タッチラインから縦に突破するよりも、バイタルエリア前でピッチの中に入ってシュートを打つなど、MFとしての要素が強い。一方、この試合が3試合目の先発となった國分は、バイタルエリアに入り込んでのシュートを持っている(途中出場の沼津戦では惜しいミドルシュートもあった)ものの、タッチラインから縦への突破もできる選手である。

國分のポジションはウイングバックである。ウイングは英語で「羽根」を意味する。ウイングはサイドの高い位置でプレーするため、スピードがあり、ドリブル突破を得意としなければならない。一方で「バック」という文字が示す通り、ディフェンスラインでプレーすることも求められる。攻撃と守備。両局面に関わるため、上下運動を激しく行う必要のある、非常にタフなポジションなのだ。

C大23戦での右WB國分の働きは、チームに活力をもたらした。また、谷尾昂也の先制点と、三田尚希の2点目は、ともにミドルシュートから生まれた。ペナルティエリアに侵入して完璧に崩した得点も美しいが、相手のDFがラインを上げた時に、シュートを打つ選択肢も有効である。

このシステムは攻守両面で機能していたため、しばらく継続してもらいたい。

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