川本梅花 フットボールタクティクス

【試合分析】#久保建英 スペイン1部で初アシストを記録【無料記事】ラ・リーガ第5節 ヘタフェ 2●4 マジョルカ

久保建英 71分間の出場で得たもの
目次
久保建英がピッチに立った後のシステム変更
アシストの場面を振り返る
試合から消えていた久保

LaLiga Jornada 5
GETAFE CF 4-2 RCD MALLORCA
https://www.laliga.com/partido/temporada-2019-2020-laliga-santander-getafe-cf-rcd-mallorca-5

久保建英がピッチに立った後のシステム変更

3試合連続のベンチスタートとなった久保は、サルヴァ セビージャとの負傷交代で、19分にピッチへ入る。「4-4-2」のシステムでスタートしたマジョルカは、「4-1-4-1」に変更して久保建英を右サイドハーフ(SH)に起用した。セビージャに変わって久保が入ったと同時に、左サイドバック(SB)のラーマン ババとアグベーニュも交代させる。イドリス ババをアンカーにして「4-1-4-1」を採用した。

アシストを振り返る

3点のリードを奪われて意気消沈する中、マジョルカは70分、久保により右サイドからのクロスを、FWアンテブディミールが頭で合わせてゴールを決めた。久保にとって、リーガ1部での初アシストとなる。

久保にボールが渡った時に、彼には4つの選択があった。

  1. ドリブルでピッチ中央に切り込んでのパスかシュート。
  2. ドリブルで縦に切り込んでのパス。
  3. 右SBサストレのオーバーラップを待って右前方へのパス。
  4. FWへのクロス。

この場面は、ペナルティエリア内で味方の攻撃的選手が3人に対して、相手の守備的選手が3人。3対3の同数だった。久保の目の前には、相手選手が2人。ピッチの中にドリブルで切り込んでも縦に切り込んでも、相手の選手が久保に付いてくることは明らかだ。右SBサストレの上がりを待って彼にパスを送ることもできた。しかし、久保はFW目がけてクロスを入れた。なぜならば、ペナルティエリア内では3対3の同数になっていたことに加え、相手DFが、きっちりとマジョルカの選手に体を寄せていなかったからだ。マジョルカ攻撃陣は、それほど厳しい状況になく、クロスを上げれば対応できると考えたのだろう。

試合から消えていた久保

久保のアシストの後、マジョルカは一時は1点差まで詰め寄った。しかし、試合は2-4で敗れる。試合後の監督会見で、モレノ監督は久保について「2点を決めたことで結果に近づいたようにも見える。しかし、久保もほかの選手たちもいる中で3点を奪われた。彼が状況を変えたとは思っていない。我々は全員で試合に敗れた」と話す。

またスペインの全国紙『AS』は、「日本人選手は前半のうちに途中出場でピッチに現れたが、決して良い内容だったとは言い切れない。しかし、彼の左足がどれだけのクオリティーを備えているのかを“サンプル”として提示した。久保は最初のアシストで、まさにスペシャルな才能を見せつけた」と記した。

前節よりも久保がボールに触れる機会は増えたが、それでも久保になかなかボールは回ってこなかった。久保がマッチアップした左サイドの選手はフィジカルに優れており、彼らに抑えられている姿を見ていたチームメイトは、久保へパスを送る決断ができなかったようだ。SBアラン ニョムは188センチと大柄で、久保の縦への突破を阻んでいた。さらに、左SHマルク ククレジャは、もともとSBということもあり、フィジカルコンタクが激しい。久保にとっては、守備面で相当の試練だったに違いない。

しかし、アシストという記録はスタッフと選手たちの記憶に残ったはずだ。現地時間9月25日に行われる次節のアトレティコ・マドリー戦で、スタメン出場する確率は高まったと言える。

川本梅花

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