川本梅花 フットボールタクティクス

【インタビュー】#差波優人 「自分で道を切り開いていく、そうやって生き残っていくしかない」【無料記事】八戸出身のセンターハーフが目覚める時

差波優人(ヴァンラーレ八戸)「自分で道を切り開いていく、そうやって生き残っていくしかない」

差波優人という青森県出身のセンターハーフがいる。彼は、9月1日のギラヴァンツ北九州戦からヴァンラーレ八戸の試合に出場している。北九州戦から11月3日の藤枝MYFC戦までの9試合すべてにスタメンで起用されてきた。筆者は同郷の彼が、ベガルタ仙台に加入したことを覚えている。その後、グルージャ盛岡を経てカターレ富山に移籍する。筆者の記憶にある彼の姿はここまでだった。富山での実績を残した彼がどうしてそのまま契約を延長しなかったのか。筆者は、富山が契約を延長しなかったからだ、と勝手に思い込んで差波の名前を記憶から外していた。しかし、実情は違っていたのである。

差波が八戸でプレーしていることを知って、彼がなぜ、日本を後にして再び八戸でプレーしているのか気になった。彼がクロアチアのクラブをなぜ選んで、八戸にどうして戻ってきたのか。真相を知るためには、直接本人に話を聞くしかない。試合が終わった差波を呼んでもらった。

−−クロアチアに行く前は、カターレ富山にいたんだよね。それでヴァンラーレ八戸に来た。どうして海外から八戸でプレーしようと思ったの?

差波 以前から向こう(海外)でやりたい気持ちがあったんです。でも、向こうに行って見たらなかなかうまくいかなかった。そんな中で八戸から話をもらいました。

−−富山では33試合に出場して、3得点を挙げている。チームの主力と言っていい。富山からは契約を延長希望されなかったの?

差波 契約の話はありました。富山では、いろいろな経験を積めて、感謝しているんです。でも「1度は海外でプレーしてみたい」という気持ちが強かったんです。その気持ちが勝ったということです。

−−八戸でのプレーを見て、差波くんは戦術上のキープレーヤーになっている。攻撃はずいぶんと活性化されたと思う。だから僕は、なぜ、富山がこういう選手を出したのかと思ったんだよね。でも実際は、契約延長を望まれたけど、海外志向が強かったということなんだね。でも、仙台はそのまま手放したわけだ。

差波 僕が力不足だったんです。そう捉えるべきだと思っています。それがサッカー選手というものですよね。厳しい世界を生き残っていける選手だけが、今のJリーグでやっている選手たちだと思うんです。そうした経験をさせてもらえたことが、今の僕の財産になっていると思います。大切な時間だったので、何も後悔はしていません。僕は与えられた時間で中でプレーしている。ここが終わったからもう終わり、という考えを持っていません。そこで、いかに自分を出して行けるのか。そういうモチベーションは、常に高いと思うので、今までの自分に降りかかったことは気にしてはいないです。

−−地元の八戸のクラブにやってきてプレーする意味は、ここで自分のプレーを見せたいとか、自分自身の存在意義を見出したいとか、そういう考えがあるの?

差波 もちろん、それもあります。一人のサッカー選手として、誰も助けてはくれないし、自分で道を切り開いていく、そうやって生き残っていくしかない。すごいシビアな世界ですが、楽しんでやっていければいい、と思っていますよ。

−−最近の試合を見ると、相手チームが相当に八戸対策を研究してきているのがわかる。フォワード(FW)とセンターハーフ(CH)を潰しに来ているからね。ボールキープをしたいFWとボールを出したいCHには、相手は2人でプレスにくる。

差波 チーム力が高くて経験のあるチームとやる時は、自分のプレーが通用しない時があります。そこは反省しないといけないし、対策していかないとならない。まあ、いい経験はできたと思っています。自分が潰された時に、チームに助けられることがあるから、今度は自分がチームを助けられるようなプレーをしたい。ミスしたことを帳消しにするようなプレーをしたい。今は、コンディオションは悪くないので、相手のプレッシャーに対応できると思います。

−−八戸のサポーターに自分をアピールするとすれば?

差波 得点に直結するプレーだったり、ゲームを作る段階だったりを見て欲しい。でも、目に見える結果が欲しいですね。得点だったり、アシストだったり。そこの部分を積み重ねていかないと評価されませんから。どれだけ数字を残していけるのか。

−−ミドルシュートは強烈なものを持っているね。

差波 あれは僕の強みではあります。ただ、相手チームにいい分析官がいれば、当然シュートを打てないようにしてくるので、そうした時の対策を立てて、自分の強みを見せたいですね。

川本梅花

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