川本梅花 フットボールタクティクス

【試合分析】守備時の出足の速さでシャットアウト【無料記事】J3第31節 #ヴァンラーレ八戸 2◯0 #カターレ富山 @vanraure @katallertoyama

守備時の出足の速さでシャットアウト

試合のポイント
ショートパスで攻撃を組み立てる富山に対して八戸は、ボールを持った富山の選手に素早い出足でプレスに行った。

目次

両チームのシステムを組み合わせる
守備時の出足の速さでシャットアウト

11月17日日曜日 13:03 キックオフ ダイハツスタジアム

2019明治安田生命J3リーグ第31節
ヴァンラーレ八戸 2⚪︎0 カターレ富山
https://www.jleague.jp/match/j3/2019/111702/live/

両チームのシステムを組み合わせる

八戸のシステムは「3-4-2-1」の3バックを採用する。右のストッパーに小牧成亘ではなく、前節と同様に河津良一を起用する。2シャドーの1人に今季初スタメンの高見啓太を使う。チームの心臓部分と言えるセンターハーフ(CH)には、これも前節と同じく差波優人と新井山祥智でコンビを組ませる。富山のシステムは「4-2-3-1」で、トップ下には伊藤優汰を置き、先発メンバーを4人も入れ替える。富山は「4-4-2」のシステムではなく「4-2-3-1」を採用したのは、八戸の差波と新井山の間に伊藤を置くことで、2対1というマークの曖昧さを作りたかったのだろう。

守備時の出足の速さでシャットアウト

富山のサッカーは、ショートパスでボールを繋いでゴールに迫ってくる。八戸は、富山にボールをもたれることは計算済みだった。あえて、ボールを持たせたフシがある。なぜならば、フォワード(FW)の谷尾昂也が相手がセンターラインを超えてからプレスに行っていたからだ。積極的にハイプレスに行くのではなく、相手を自陣に引き込んでからプレスに行っていたのである。

この試合の八戸の選手全員が、富山の選手がボールを持つと、素早くプレスに行く。だから、富山はボール支配率が高くても、選手がフリーで前を向いてボールをもらえる機会がほとんどなかった。あれだけ出足が早い守備をやられたら、富山の選手たちも窮屈に感じたに違いない。右ストッパーの河津は、意図的に攻撃参加をしないで守備に専念することで、最終ラインが安定していた。また、差波と新井山のセンターハーフの出足の速さも意図的になされていた。こうした富山対策が、完全にハマった試合だったと見ていい。

後半の頭から近石哲平に替えて小牧を使ってくる。河津を3バックの真ん中にして、小牧を右のストッパーに置く。68分に先制点を挙げた高見をベンチに下げて、宮崎泰右をピッチに送り込む。左ウイングバック(WB)の三田尚希をシャドーストライカーに入れて、宮崎を左WBに起用する。最後の交代は、89分にユース出身で初出場になる18歳の石ヶ森荘真を登場させる。ゴールキーパーの山田賢二が2度スーパーセーブしたことにも救われたが、八戸にとっては完勝に近いゲームだった。

八戸の攻撃パターンとして、DFからFW谷尾にロングパスを送るか、または相手のGKとDFの裏のスペースにボールを蹴って、そこに谷尾を走らせるかである。谷尾はキープ力があるので、ゲーム頭から谷尾を起用して、スーパーサブとして上形洋介を持ってくる。谷尾が相手からマークされたら逆に頭から上形を使う。この試合のように、シャドーストライカーを中村太一、三田、高見、秋吉泰佑をローテーションで使う。中村が一番安定して力を発揮するので、彼を軸にして選手を回していく。同じように、センターハーフにもDFにも当てはめていいと思う。突出した選手がいないチームでは、選手をある程度固定して使うよりも、思い切ってローテーションで起用して欲しいと思った。

川本梅花

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