川本梅花 フットボールタクティクス

【連載】ハーフタイムで、なにが行われているのか?【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

ハーフタイムで、なにが行われているのか?

以下のコラムで「監督の仕事は試合前に8割は終わっている」と記しました。

【連載】監督の仕事は試合前に8割は終わっている【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

では残りの2割は、何に割かれているのでしょうか?サイドラインの外側に「テクニカルエリア」という場所が設けられています。ここは、監督が試合中に指示を出せる場所です。多くの読者は、この場所にて大きなジェスチャーで指示を出す監督の姿を見掛けたことがあると思います。筆者は「テクニカルエリアでの監督の指示は聞こえているのか?」と、何人もの選手に尋ねましたが、残念ながら「あんまり聞こえません」との回答がほとんどでした。テクニカルエリアの近くにいるサイドハーフ(SH)の選手ならば、監督の指示は届くかもしれません。監督が、試合が始まってから選手に直接的に指示を出せる時間があるとすれば、それは、試合前半が終わってからの「ハーフタイム」になります。柏レイソル元監督の岩瀬健氏は、以下のような投稿をしています。

前半が終了して、選手たちがピッチから引き揚げてロッカールームに入っていきます。後半が始まるピッチに、選手たちが戻るまで15分間が与えられています。選手たちは、戻ってきたロッカールームの中で、身体を休めて水分を補給します。汗で濡れたユニホームを新しいものに着替えます。

監督は、前半が終わってロッカールームに戻ってきたら、コーチ陣と前半の試合を分析して、後半にはどのように戦ったらいいのかを話し合います。スカウティングの報告は、正しかったのか間違っていたのか。もし、間違っていたならば、どこを修正すればいいのか。そうした内容を監督はスタッフと編み上げていくのです。これに5分は掛かります。したがって、監督が選手たちに対して行えるミーティングの時間は5分くらいでしょう。その短い時間の中で、監督はメッセージを伝えなければなりません。岩瀬氏は、「文章で説明」する言葉ではなく、「キーワードでメッセージ」を送ることの優位性を話しています。

チームによって、前半での雰囲気と後半での雰囲気が、全く違って見えるケースがあります。それだけ、ハーフタイムでの監督の指示は、大きな影響力があるのでしょう。

川本梅花

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