川本梅花 フットボールタクティクス

【連載】監督には戦術系志向タイプと調整系志向タイプがある【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

【1日1回読むだけで身につくサッカーの見方の基礎知識】

監督には戦術系志向タイプと調整系志向タイプがある

監督をタイプで括ろうとすれば、2つに分けられます。タイプというよりも志向と言った方がいいかも知れません。2つの志向とは、「戦術系志向」と「調整系志向」です。「戦術系」は、ビルドアップのやり方からバイタルエリアへ入ってどうやって得点を取るのかまで細く指導します。監督の頭の中で描いた形式を選手たちに、トレーニングで落とし込んでいきます。「調整系」は、選手たちのプレーを尊重して自主性に任せようとします。戦術系志向の監督と調整系志向の監督では、全く性格が異なります。戦術系志向の監督は、戦術を選手たちに植え付けることに執着します。調整系タイプの監督は、選手たちを型にはめようとせずに、選手たちが話し合って戦い方を決めていくように促します。

戦術系志向の監督は、選手を固定しがちになります。なぜならば、共通理解を持った選手たちで戦い続ければ、戦術理解度も上がって、チームとして成熟するスピードが上がる、と考えるからです。一方の調整系志向の監督は、選手を固定せずにローテーションで起用してきます。固定しないことで、選手たちに刺激を与えて、競争心や緊張感を持たせられる、と考えるのです。

読者の中に、監督は自分の好む戦術を選手に落とし込むことに熱心な人が多いと思っているかも知れません。実は、戦術系志向の監督より調整系志向の監督もけっこういるのです。調整系志向だからと言って、全く戦術的な指導をしないのかと言えば、そんなことはありません。戦い方の大枠を示しますが、細かいことは選手たちに考えさせるやり方を採るのです。

川本梅花

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ