川本梅花 フットボールタクティクス

【コラム】#ヴァンラーレ八戸 の2019年の戦いと #大石篤人 監督の契約満了に思うこと@vanraure

ヴァンラーレ八戸の2019年の戦いと大石篤人監督の契約満了に思うこと

読者に伝えることがあります。ヴァンラーレ八戸のサポーターに向けてになりますが、葛野昌宏強化部長にインタビューすることになっています。これは、前々からあった話で、「シーズンが終わってからの方がいいのでは」ということになっています。今後のチームの方針などをうかがう予定です。

11月15日に大石篤人監督が契約満了でチームを去ることになりました。八戸の2019年の戦いと大石篤人監督の契約満了に思うことを綴りたいと思います。

監督の仕事は、日に日に難しいものとなっています。チームを勝たせながら選手の底上げもしていかないとなりません。勝つだけでは物足りなくて、同時にチームのスタイルを築いていくことも期待されます。監督が、自分のやりたいサッカーをいかに世の中に伝えるのかも必要とされます。トレーニングで戦術をチームに落とし込むだけでは物足りず、監督の哲学を表明しないと納得されません。いまは、そんな時代になっていると言えます。

未完成のチームを引き受けた大石篤人氏にとっては、初めから難題が待ち受けていました。Jリーグに昇格したチームの初年度の監督になったことです。それは名誉なことなのですが、監督だった葛野昌宏氏がS級ライセンスを保持していないので、その代行者として起用されたという経緯があります。それが事実だと言えるのは、1年契約という年数に現れています。

もしも、大石氏が、来季も八戸の監督を続けるためには、先に述べた期待値を上回るくらいの実績を残さないと、最初から難しかったのでしょう。現有の戦力で、果たして上位進出は可能だったのでしょうか? そのことを考えると、大石氏は、八戸の監督として、できることはやったのではないかと思います。

最終節のセレッソ大阪U-23との試合は、2-3で敗れてしまいました。34試合で14勝14敗6分の戦績です。得点は49点と昨シーズンよりも上乗せしています。しかし、失点は41点と多くなってしまいました。問題は、14敗していることだと思います。試合を見ていても、勝ちきれない状態が何度もありました。肝心な時間帯で同点にされてしまったり、先制点を奪われたら、逆転まで辿り着けなかったり。歯痒さを感じてしまいます。

11月3日の第29節の藤枝MYFC戦を記者席で見ていて不思議に感じたことがあります。不思議さとは、戦い方にありました。1-0で前半を折り返して、後半に藤枝は、積極的に攻撃してくると予想されます。その勢いを防いで試合を落ち着かせるだろうと思っていました。例えば、1トップの谷尾昂也を残して、他の選手は全員帰陣してブロックを作ります。後ろでボールを藤枝から奪ったら、谷尾を超えていいからボールを大きく蹴ります。陣地を挽回して、そのボールに谷尾を走らせます。相手は最終ラインを高くして攻撃しているので、ゴールキーパーとディフェンスの距離が空いてきます。狙えるスペースはあったはずです。守ってカウンターに徹するやり方があったはずなのです。そうした時間帯がなければ試合には勝てません。しかし、八戸は、藤枝の攻撃をまともに受けてしまいます。

試合後の監督会見で、筆者は上記の内容を短い文で質問しました。大石氏も「なぜそうしないのか」と答えらえています。実際、監督の意向を完璧に選手全員に伝えるのは難しいことです。しかし、そうした難しいことを為し得ないと「歯痒さ」が残る試合展開を繰り返されてしまうのです。選手のプレーと同時に、監督にも何らかの手立てはあったのではないか、という思いが湧いてきます。

葛野氏が監督をしていた八戸と、大石氏が指揮した八戸の違いは、「この試合は引き分けで終わろう」「この試合は1-0で終わろう」という意思の共有が葛野氏と選手にはあったことです。それが実行されていたかされていなかったかの違いなのです。ただし、JFLとJリーグでは、レベルが違うことはあります。細かいワン・プレーで勝敗をわける場面が出てきます。しかし、実際は、J3の上位チーム以外とは、それほど大差はないのです。今季J3リーグで初めて戦った選手たちの声は「十分にやれる」が多くを占めていました。

引退する選手や契約満了になった選手がいて、監督も替わっていく中で、八戸は大きな変革を求められています。それは、ソフト面とハード面の両方なのですが、特にスタジアムの問題が今後の八戸の動向を左右することになると思われます。

個人的には、今年S級ライセンスを受講している葛野強化部長には、ぜひ再び監督になってもらたいのです。為し得なかったことを、来季は、為し得て欲しい、と個人的には期待してます。

川本梅花

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ