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【コラム】#水戸ホーリーホック の2020シーズン システムと補強戦略【無料記事】開幕戦と最終戦を比較する

水戸ホーリーホックの2020シーズン-システムと補強戦略-開幕戦と最終戦を比較する

2019年2月24日 明治安田生命J2リーグ第1節
ファジアーノ 岡山 0-1 水戸ホーリーホック

https://www.jleague.jp/match/j2/2019/022407/live/

この試合で印象に残ったのは、GK松井謙弥のファインセーブ。後半に入ってから、岡山MF仲間隼斗と同FWレオ ミネイロの決定的な場面を阻止します。2019シーズンも安定した守備力で水戸の守護神であることを印象付けました。水戸の先制点であり決勝点ともなったゴールは、右サイドバック(SB)の岸田翔平がゴールライン近くまで入り込んだことから生まれます。マイナスのパスをペナルティエリアの中央へ出すと、茂木駿佑が走り込みながらゴール左隅にシュートを決めました。

少ないチャンスを効率よく決めた試合で、特別に強力なFWが不在な水戸にとって理想的な戦い方でした。システムは「4-4-2」の中盤がボックス型を採用。J2最終節まで同じシステムで戦い抜きます。長谷部茂利監督が就任した時、西村卓朗ゼネラルマネージャー(当時は強化部長)は「4バックを基本にゾーンプレスをチームに浸透させてほしい」と要望。長谷部監督も4バックのゾーンプレスを基本としたスタイルに賛同した結果の「4-4-2」でした。

開幕戦では、左SBへコンバートされた志知孝明がスタメン出場。プレシーズンマッチのプレーからは想像できないほど、短期間にSBの動き方を取得し、水戸で不動のポジションを獲得します。また、黒川淳史が期限付き移籍の期間を更新。サイドハーフ(SH)からFWにポジションを移動します。長谷部監督に得点力を期待されての起用です。センターバック(CB)の細川淳矢はケガで出場できず、代わってンドカ ボニフェイスがスタメンをつかみました。

2019年2月24日 明治安田生命J2リーグ第42節
水戸ホーリーホック 1-0 ファジアーノ 岡山

https://www.jleague.jp/match/j2/2019/112402/live/

開幕戦と同じ相手との戦いになりました。そしてJ1参入プレーオフの切符をつかむための最後の試合でした。結果は、1-0で勝利を収めましたが、プレーオフ参入の権利は得られませんでした。一言で言って、「苦い味がした試合」だったと思います。選手、サポーター、クラブ関係者、そして監督によって忘れられない試合になりました。長谷部監督自身、2年連続でチームをプレーオフへ連れていけなかったため、悔しさはものすごく残ったはずです。

この試合では、左SB外山凌と右SB浜崎拓磨を先発で起用せず、開幕戦と同じように志知と岸田をスターティングメンバーに配しました。センターハーフ(CH)前寛之と白井永地のコンビは、スタメンに定着。期限付き移籍で加入した両FW、小川航基(ジュビロ磐田)と清水慎太郎(大宮アルディージャ)も期待を抱かせるプレーヤーです。黒川は右のSHに戻っています。しかし10点以上を取れるストライカーには、なれませんでした。この現実は大きかったと思います。シーズン終盤戦になってから、チームがステップアップできなかった1つの要素として、ここ一番で頼れるストライカーの不在が大きかったと思います。さらに終盤では、長谷部監督の采配ミスが目立ちました。

この試合のスタメンから、2020シーズンは、6名の選手がOUTになっています。J1のチームや同じJ2のクラブに移籍していきました。そして、長谷部監督も、水戸の前監督という立場になって、アビスパ福岡の監督に迎えられました。監督を慕って、何人かの選手が後を追って移籍していきます。

分析した2試合で2019年の水戸の戦い方がよくわかる

この記事は、サッカーライターの清水英斗による分析です。最終節の試合を対象にしています。

【試合分析】#清水英斗 が語る水戸のサッカー【会員限定】J2最終節 #水戸ホーリーホック 1○0 #ファジアーノ岡山 @hollyhock_staff @fagiano_koho

堀江哲弘(ラインメール青森アカデミーダイレクター)に分析してもらいました。試合は、2019明治安田生命J2リーグ第29節の対東京ヴェルディ戦です。

【試合分析】#水戸ホーリーホック は昇格できるか?【会員限定】#ラインメール青森 アカデミーダイレクター堀江哲弘(@tetsuhorie)に話を聞く #mitohollyhock

それでは、INしてきた選手とOUTになった選手を見ていきましょう。

INの選手

最も注目している新加入選手は、鹿島アントラーズから加入するFW山口一真です。阪南大学の時のプレーは記憶にあって、右足でも左足でも同じように蹴れる選手です。パワーとセンスを兼ね備えており、大化けする可能性大です。横浜FCからの期限付き移籍で加入した前嶋洋太は、左SBとして志知以上に期待できる選手です。さらに横浜F・マリノスの山田康太は、運動量が豊富なCH。白井の抜けた穴を埋められる能力があります。期限付き移籍の若手は、有望選手がそろっています。彼らがどのように成長していくかは、秋葉忠宏新監督の技量にかかっています。

選手名 ポジション 前所属名 移籍条件
牲川歩見 GK アスルクラロ沼津 完全移籍
乾 貴哉 DF ジェフユナイテッド市原・千葉 期限付き移籍
住吉ジェラニレショーン DF 国士舘大学
前嶋洋太 MF 横浜FC 期限付き移籍
奥田晃也 MF 横浜Y.S.C.C. 完全移籍
河野諒祐 MF 横浜Y.S.C.C. 完全移籍
深堀隼平 MF 名古屋グランパス 期限付き移籍
安東 輝 MF 松本山雅FC 期限付き移籍
山田康太 MF 横浜Fマリノス 期限付き移籍
松崎 快 MF 東洋大学
平田海斗 MF 水戸ホーリーホックユース ユースから昇格
山谷侑士 FW 横浜Fマリノス 期限付き移籍
中山仁斗 FW ジュビロ磐田 完全移籍
山口一真 FW 鹿島アントラーズ 期限付き移籍

OUTの選手

選手名 ポジション 移籍先 移籍条件
村上昌謙 GK レノファ山口→アビスパ福岡 移籍期間満了
宮 大樹 DF ヴィッセル神戸→サガン鳥栖 移籍期間満了
宮本拓弥 DF 未確定 未確定
石井 綾 DF ツエーゲン金沢 完全移籍
周余冶 DF 未確定 未確定
志知孝明 MF 横浜FC 完全移籍
前 寛之 MF アビスパ福岡 完全移籍
浜崎拓磨 MF ベガルタ仙台 完全移籍
茂木駿佑 MF FC琉球 完全移籍
浅野雄也 MF サンフレッチェ広島 完全移籍
福満隆貴 MF セレッソ大阪→アビスパ福岡 移籍期間満了
白井永地 MF ファジアーノ岡山 完全移籍
黒川淳史 MF 大宮アルディージャ 移籍期間満了
レレウ MF 湘南ベルマーレ 移籍期間満了
中川洋介 MF 未確定 契約満了
清水 慎太郎 FW 大宮アルディージャ→ファジアーノ岡山 移籍期間満了
ジョー FW CAリネンセ 移籍期間満了
齋藤恵太 FW 未確定 契約満了
小川航基 FW ジュビロ磐田 移籍期間満了

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